「チコちゃん」パワハラ炎上 民放テレビマンが「マナー講師ではなくNHK」に違和感を覚えるワケ

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NHKの判断に疑問の声

 この女性講師、お笑い芸人・江頭2:50(56)の公式YouTubeに複数回の出演経験がある。動画では同じように厳しい指導を行っているが、特に炎上はしていない。

「『チコちゃん』でも、叱責されたのがタレントやお笑い芸人だったら、視聴者の反応は違ったかもしれません。彼らの“リアクション”で笑えたかもしれないからです。プロの絶妙な反応で、ぎりぎりパワハラに見えない演出が成り立つことがあります。しかし『チコちゃん』に登場したのは“素人”で、おまけに涙を浮かべました。これで笑うのは、かなり難しいでしょう」(同・ディレクター)

 涙を浮かべた女性は番組スタッフであり、完全な素人ではない。

「以前のテレビ業界は、パワハラが横行していました。そして昔の感覚でも、あの場面は笑えません。ディレクターが撮影を止め、女性スタッフに『泣くな!』と怒鳴り、再撮して解決したでしょう。現在の規準では問題のある行動ですが、涙を浮かべる場面は放送されなかったはずです。今はパワハラに敏感な時代です。なのになぜ、NHKはあの場面を放送したのか、より疑問に感じてしまいます」(同・ディレクター)

素人の危険性

 いずれにしても、素人のリアクションだと笑えるものも笑えなくなる、というのは間違いないようだ。

「最近のテレビ業界は、素人を使うのが流行っています。うまくハマれば面白い時もありますが、『チコちゃん』のように視聴者が反発するリスクがあります。特に今は、出演者をイジることに視聴者は敏感です。今回の一件で、安易に素人を使うことは危険だと、テレビ業界は肝に銘じるべきでしょう」(同・ディレクター)

 ネット上で「チコちゃん」への批判が話題になると、テレビ局のディレクターたちは「あれがセーフなら、もっと部下に厳しく当たりたい」と苦笑しているという。

「男女差別やセクハラ的な会話をしない。残業時間を減らす。指導の範疇を超えた言動を控える……と、今のディレクターは“コンプライアンス”でがんじがらめになっています。それこそ女性講師のようなディレクターは、昔なら山のようにいました。しかし、今は激減しています。自分たちの職場でさえ、厳しい指導が“アウト”というのは常識です。にもかかわらず、NHKは“セーフ”と判断し、再撮も行わなかった。やはり謎でしかありません」(同・ディレクター)

デイリー新潮編集部

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