投手をやらされた中日「根尾昂」の現在地 評論家は「我慢して起用を続ける時期は過ぎた」

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新庄の投手挑戦

「根尾くんが入団前に決断したにもかかわらず、4年目のシーズンで球団は、それを覆してくれと頼んできたわけです。彼の心中はいかばかりかと思ってしまうのは仕方ないでしょう。プロ野球は未だにタテ社会です。監督やコーチに『投手としての準備もしてくれ』と命じられたら、内心はどうであっても、『嫌です』と拒否できる選手はまずいないのではないでしょうか」(同・広澤氏)

 一方で、「ピッチャーとしての経験が、打撃にも好影響を及ぼすのではないか」という期待も根強い。孫子にも“彼を知り己を知れば百戦殆(あやう)からず”という言葉がある。

「阪神の監督だった野村克也さん(1935~2020)が、今季から日ハムの監督に就任した新庄剛志外野手(50)に、キャンプ中、ピッチャーとしての練習を指示したことがあります。その時にも同じ期待が語られましたが、新庄くんが登板することはありませんでした。“打撃技術の向上のため、ピッチャーの経験を積ませる”というアプローチは、効果に乏しいということを示しているのではないでしょうか」(同・広澤氏)

 となれば、やはり根尾は打撃に専念すべきということになる。

立浪と小園

「高校生や大学生の投手が相手なら、根尾くんは今のままでも、ヒットやホームランを打つでしょう。問題は、『プロ1軍の投手を相手にすると打てない』ということです。これはフォームの改造が必要だということを意味しています。一流のピッチャーが投げる球には対応できていないからです」(同・広澤氏)

 立浪監督は現役時代、高卒ルーキーながらショートのポジションで開幕1軍デビューを果たした。以来、通算22年、中日だけでプレーした。「ミスター・ドラゴンズ」と聞けば、立浪監督の名前が浮かぶファンも多いだろう。

 立浪はショートだけでなくサードやレフトも守った。とはいえ、「中日のショートと言えば立浪」というイメージは強い。だからこそ根尾に「立浪二世」としての活躍が期待されている。

 立浪の生涯成績は、打率2割8分5厘。ホームランは171本。通算二塁打の487本はプロ野球記録だ。

 守備では、ショート、セカンド、サードでゴールデングラブ賞に輝いた。3ポジションでの受賞は最多記録だという。

 広島の小園海斗内野手(21)は根尾と同期であり、ポジションも同じショートだ。根尾が登板した際は打者として対戦したという“奇縁”も話題になった。

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