「爆死」するドラマが減ってきたワケ 試聴スタイルに変化…視聴率の真実

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コア視聴率、トップは「マイファミリー」

 次にコア視聴率を確認してみたい。約1年前からクローズアップされているデータである。最近の民放は重要視している。

 コア視聴率とは基本的に13歳から49歳の個人視聴率。購買意欲の高い現役世代なので、この数字が良いと多くのスポンサーが喜ぶ。

 ただし、50歳以上の人も視聴者であることには変わらず、そこは注意が必要である。

 また、50代以上の視聴者を望むスポンサーも決して少なくない。薬品メーカー、化粧品メーカー、生活雑貨メーカーなどがそうだ。

 以下、5月第1週(5月2~8日)のドラマのコア視聴率である。月曜日から曜日順に並べた。

■「元彼の遺言状」(フジ)コア2.7%、世帯9.0%、個人5.3%
■「恋なんて、本気でやってどうするの?」(フジ)コア1.3%、世帯5.5%、個人2.7%
■「持続可能な恋ですか」(TBS)コア2.0%、世帯7.2%、個人3.9%
■「正直不動産」(NHK)コア0.9%、世帯5.3%、個人2.6%
■「特捜9」(テレ朝)コア1.9%、世帯9.3%、個人5.1%
■「警視庁捜査1課長」(テレ朝)コア1.8%、世帯9.3%、個人5.3%
■「未来への10カウント」(テレ朝)コア2.5%、世帯9.6%、個人5.6%
■「悪女(わる)~働くのがカッコ悪いなんて誰が言った?~」(日本テレビ)コア2.1%、世帯7.3%、個人3.9%
■「ナンバMG5」(フジ)コア2.7%、世帯5.3%、個人3.2%
■「やんごときなき一族」(フジ)コア2.1%、世帯5.7%、個人3.2%
■「嫌われ監察官 音無一六 初回2時間スペシャル」(テレビ東京)コア0.8%、世帯9.6%、個人4.3%
■「インビジブル」(TBS)コア2.2%、世帯6.4%、個人3.6%
■「パンドラの果実~科学犯罪捜査ファイル~」(日本テレビ)コア2.0%、世帯5.0%、個人2.8%
■「鎌倉殿の13人」(NHK)2.8%、世帯12.7%、個人7.6%
■「マイファミリー」(TBS)コア5.1%、世帯12%、個人7.4%

 コアのトップは「マイファミリー」。「視聴率が前作『DCU』より下がった」と指摘する向きもあったが、それも世帯視聴率の話。コアはむしろ上がっている。嵐の二宮和也(38)が主演であることも影響しているだろう。

 誰にでも分かることだが、「マイファミリー」は高齢者をメインターゲットにしていない。だから世帯視聴率は低くなる。

 コアの2位は「鎌倉殿の13人」。若い人にもウケている。3位は「元彼の遺言状」と世帯視聴率の数字だけで酷評されがちな「ナンバMG5」が同率。このドラマも高齢者向けにつくられているわけではないから、コアにウケれば成功なのである。

 同じ時間帯でぶつかる「悪女」のほうが世帯視聴率は上回ることから、「ナンバMG5」を完敗扱いとする向きもあったが、それは早計だろう。「悪女」もコア向けの作品なのだから。

 今のドラマは大半が若い人に向けてつくられているから、合格ラインはおおむねコア視聴率で2%以上とされている。

「特捜9」「警視庁捜査1課長」は世帯視聴率と個人視聴率は比較的高いものの、コア視聴率は2%以下。だが、両ドラマは高齢者にも観てもらいたい作品だから、これで良いのである。

 それはスポンサーを見れば分かる。「特捜9」は大正製薬やサカイ引越センターなど。「警視庁捜査1課長」はニトリや梅酒のCHOYAなど。若者だけを狙いたい企業ではない。

 1990年代まではドラマづくりにマーケティングがほとんど活用されなかった。プロデューサーが親しい脚本家と役者を集め、思い込みでつくるような作品もあった。だから打ち切りも珍しくなかった。

 世帯視聴率が5%を下回ると、打ち切りがささやかれ始めた。今、そんな作品はない。総合世帯視聴率は大半の作品が10%を超える。ムチャクチャな企画が減ったせいだ。

 本当に「爆死」するドラマはもう出ないかも知れない。売り上げが減った各民放は必死になってドラマをつくっているからだ。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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