巨人の投手がポケットに妙なモノを入れて…「選手と審判」で起きた3つのトラブル

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「故意に当てたのか」

 白井一行球審が判定をめぐり、ロッテ・佐々木朗希に詰め寄った事件は、ゴールデンウィーク後の5月9日にもNPBの理事会と12球団の実行委員会で取り上げられるなど、今なお話題が尽きない。そして、過去にも、審判と監督、選手との間で起きたグラウンド上のトラブルがあった。【久保田龍雄/ライター】

 判定を巡って、球審とひと悶着があったのは、巨人のV9戦士の一人・柴田勲である。1973年8月26日のヤクルト戦、1対0と巨人リードで迎えた5回、柴田はカウント1-2から安田猛の低めスライダーを見送ったが、平光清球審は「ストライク!バッター、アウト!」と高らかにコールした。

「低過ぎてボールだと思った」という柴田は直後、不満そうにバットを放り出したが、なんとも間の悪いことに、地面を転がったバットが、平光球審の足に当たってしまう。カチンと来た平光球審は、柴田を呼び止め、「(判定が不服で)故意に当てたのか」と尋ねた。

 すると、柴田は「故意じゃないよ」と答えたが、続けて「お前さんだって、よく(判定を)間違えているじゃないか」と言ったのがまずかった。「柴田は故意ではないと言ったが、故意とわかる発言だった」と判断した平光球審は「判定には自信がある。明らかに審判への侮辱だ」と退場を宣告した。

「代打・進藤」

 巨人の選手では、71年に自身が退場となって以来の不名誉な処分を受けた柴田は「別に審判目がけてバットを放ったんじゃないし、僕はどこを転がったかもわからなかった」と話していたという。

 ちなみに、平光審判は87年7月25日のオールスター第1戦で、巨人・吉村禎章の中前安打をセンターのダイレクトキャッチと誤審。さらに、8月4日の巨人対大洋では、大洋の捕手・若菜嘉晴がボールの入っていないミットで“空タッチ”したのをアウトと判定している。10日間で2度も誤審で不利を被った巨人・王貞治監督には「(死角で見えず)あの人はついてないね」と同情されている。

 監督が交代を告げてもいないのに、審判が自らの判断で代打を告げる珍事が起きたのが、2003年5月30日のオリックス対日本ハムである。

 5回に3点差を追いついたオリックスは、なおも2死満塁と一打勝ち越しのチャンス。次打者は5番・オーティズだったが、ネクストサークルには進藤達哉が控えていた。これを見た佐藤純一球審は、てっきり進藤を代打で起用すると思い込み、「代打・進藤」をコールした。これに呼応する形で、日本ハムも先発の左腕・吉崎勝を右腕・芝草宇宙に代えた。

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