ママタレの「料理上手アピール」はもうお腹いっぱい? DAIGO、バカリズム、オズワルド伊藤…「ポンコツ料理男子」にホッとする時代

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「映え」より過程を愛でる異色の料理番組「DAIGOも台所」 これまでの「料理男子」との違い

「上沼恵美子のおしゃべりクッキング」後に始まった「DAIGOも台所」、ちょっと異空間なのだ。本当にDAIGOさんが台所に立っているだけという時もある。今のところ、作る料理は1回につきひと品。餃子の回では手際よくニラを刻む年下の先生に、洗い物をしながら「上手っすね、僕がやったら一日かかる」と笑って包丁さえ握らないDAIGOさん。調理に参加する時はいつものようにおっとりとした口調で、先生どうすか、と評価を問う。先生たちも心得たもので、上手です、といつも褒めてあげている。

 そこに「映え」はない。変わった調味料も高級食材も、炎が上がる鍋さばきも出てこない。ただ安心感がある。先生に限らず、そうだよね、これだけできれば十分だよね、とDAIGOさんに拍手を送りたくなるのだ。おいしそうというより、ほっとする料理番組なのである。

 従来の料理男子といえば、「SMAP×SMAP」の「BISTRO SMAP」しかり、オリーブオイル消費量が多すぎる速水もこみちさんしかり、作っている途中さえ絵になる玄人はだしの人ばかりだった。男子厨房に入らずとは昔のこと、華麗な手さばきを見せる彼らのコーナーは大人気に。ただ披露されるのは、家庭料理というよりよそゆきの顔をした料理だったことは否めない。他方、名より実を取るタイプの「太一×ケンタロウ 男子ごはん」も放送開始。初心者の国分太一さんが、男性料理家に指導を仰ぎながら料理に挑む企画だった。

 さまざまな理由や背景があるが、今も続いているのは「男子ごはん」のみ。現在も太一さんが包丁を振るいまくることはなく、電子レンジでチンする下ごしらえを請け負うだけの回もある。でもその気負わない立ち位置が心地いい。シーフードミックスや佃煮など、余りがちな食材を扱ってくれるのもありがたい。

増える「ポンコツ」男子の料理番組 今年のベストマザー賞に感じるかすかな兆し

 他にも「家事ヤロウ!!!」ではバカリズムさん・カズレーザーさん・KAT-TUN中丸雄一さんが、「家事のド素人」としてキッチンでわちゃわちゃする様子を見ることができる。また「グレーテルのかまど」でパティシエを務める瀬戸康史さんも、初期は卵を割る手つきも危ういほどだった。おなじみ「キユーピー3分クッキング」も、最近は若い男性アナウンサーがアシスタントにつく回も多い。料理初心者の満島真之介さん・オズワルド伊藤さんによる「ワールドエキセントリックキッチン」も放送された。料理の出来栄えや品数より、ポンコツでも一生懸命に取り組む男性の姿に、共感や癒やしを求める視聴者が増えてきている流れを感じる。

 先日はちょうど、「ベストマザー賞」の発表があった。子どものお弁当作りや普段の料理写真が得票理由に上がったタレントに交じって、元衆議院議員の金子恵美さんも受賞。家庭では夫・宮崎謙介さんが料理担当だという。彼も実生活ではポンコツぶりがあらわになった一人だが、料理上手な女性が良妻、という一義的な呪いから金子さんを解放した王子様ともいえるかもしれない。料理も家庭も、たったひとつの正解はない。

 たとえ胃袋をつかめずとも、伴侶や視聴者のハートはつかめる。ポンコツ料理男子たちが証明したように、料理上手=良妻賢母というイメージにとわわれる女性たちの呪いも解けるだろうか。DAIGOさんには、ウィッシュ!と元気よく太鼓判を押してほしい。

冨士海ネコ

デイリー新潮編集部

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