「補聴器は隠すことじゃない」 俳優・井上順が明かす、難聴で開けた新たな人生

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「難聴、補聴器は隠すことじゃない」

 補聴器をしたからといって、仕事に関しても元のように100%こなせるわけではありません。現に、素早い反応が求められるバラエティーの番組は5、6年前から遠慮させてもらっていて、その分、映画や舞台の仕事に力を注いでいます。これも難聴を公表したからこそ、できることとできないことを、周りの人に理解してもらいながら選ぶことができているおかげだと思うんです。

 もし公表していなかったら、僕は今でも人と距離を取ったままで、こうやって仕事をしていられなかったかもしれません。ですから、難聴や補聴器の使用は隠すことではなく、周りの人に分かってもらい、そこから新しい世界を開いていくことが大切だと思います。

 そうやって補聴器をつけて「宇宙」を体感した僕は、まだまだ長生きするつもりです。

井上 順(いのうえじゅん)
俳優・ミュージシャン。1947年生まれ。63年、高校在学中に「ザ・スパイダース」に加入。「バン・バン・バン」などのヒット曲でGSブームを築く。役者や「夜のヒットスタジオ」の司会者としても活躍。

週刊新潮 2022年5月5・12日号掲載

特集「『転機』とするか『折り合う』か『闘う』か…著名人が明かす『病』との向き合い方」より

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