司令官を“逮捕”、国防相は不自然な心臓発作… プーチン「大粛清」の意図とは

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将校クラスの犠牲者は40名に達するという説も

 ロシア軍はこれまでウクライナ周辺に配置された兵力の2割が損害を受け、死者の数は1万~2万人、負傷者の数も2万人に達すると言われる。

「脱走兵や行方不明兵まで含めれば、戦闘を遂行できなくなった兵員は総勢4万人を数えます」(前出・名越氏)

 演習という名目で集められた兵士たち、大義なき侵攻、上がらぬ士気に混乱する前線の状況。ついに自ら先頭に立つことを余儀なくされた将官は、ウクライナ軍に通信を傍受されるなどして8名にも及ぶ戦死者を出し、将校クラスの犠牲者は累計40名に達するという説もある。

 前出の山添氏が言う。

「ロシア軍は人的な面のみならず、装備のダメージも相当受けている。北部や北東部での戦闘から手を引き、部隊をウクライナ東部に転戦させようとしていますが、すべて投入できるのか疑問が残ります。装備の損耗具合によっては、軍の再編も立て直しもままならないでしょう」

艦隊司令官を「逮捕」

 こうした現状に、誰より歯ぎしりしているのがプーチンに違いない。モスクワの沈没が、侵攻全体を指揮する統括司令官にアレクサンドル・ドゥボルニコフ将軍を着任させた直後に起きたことを考えればなおさらである。

 ドゥボルニコフは、そう、シリアで反政府勢力掃討に手を貸したロシア軍を指揮し、躊躇なく猛毒サリンを使ってみせた「冷酷非情の将軍」その人である。

 今般の屈辱を受け、プーチンの軍幹部に対する“措置”は、もはや狂気の域に足を踏み入れたと思しい。名越氏が明かす。

「イゴール・オシポフ黒海艦隊司令官がFSB(ロシア連邦保安庁)に逮捕されたという情報があるのです。FSBには軍に目を光らせる任務があり、軍部に対する捜査権と逮捕権が与えられています。モスクワが撃沈されたことに怒ったプーチンが逮捕を命じた可能性は、たしかに否定できません」

 また、外信部デスクは、やはりプーチン側近が主の逆鱗に触れている可能性があると語るのだ。

「英国の大衆紙『デイリー・メール』などがロシア系イスラエル人実業家による話として、セルゲイ・ショイグ国防大臣が“不自然な重度の心臓発作”を起こし、集中治療室に入っていると伝えています。ショイグは数週間前から公の場に姿を見せておらず、もっぱらビデオ会議に参加する映像ばかり流されていますが、各国の情報機関はその映像が以前に撮影されたものだと指摘。ショイグの暗殺未遂説に信ぴょう性を与えています」

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