佐々木朗希をどう育てるべきか? 「メジャー球団がよだれ」でも代理人が指摘する不安材料

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「サンデー朗希」の裏事情

 ロッテは佐々木について5年に及ぶ長期育成プランを立てている。プロ1年目の2020年は2軍を含めて1試合も実戦で投げさせず、プロ初登板を飾ったのは昨年のこと。今季は開幕からローテーション入りさせたものの、登板は週1度に限定し、1試合100球をめどとしている。実は、日曜日に登板させるのにも集客以外に大きな理由がある。

「プロ野球は月曜日に試合がないため、日曜日は中継ぎを総動員させやすい。本来、エースは3連戦の初戦に投げるものですが、ケガに細心の注意を払うベンチの方針が“サンデー朗希”にも表れています」(元パ・リーグ監督経験者)

 大リーグでは、佐々木が完全試合を達成した直後の13日にドジャースのエース、クレイトン・カーショー投手が7回まで完全試合を継続しながら降板した。開幕戦では、やはり6回までノーヒットノーランの好投を見せたダルビッシュ有投手(パドレス)が交代。

「今回のような交代劇は、記録より投手の体調管理を優先するメジャーでは珍しくありません。いかにも合理的なメジャーらしい光景ですが、こうした発想が日本球界にも浸透しつつある。それが今回、騒動が起きなかった一因ではないでしょうか」(大リーグ記者)

 加えて、対戦相手だった日ハム・新庄剛志監督は試合後にこう語った。

「これから3度でも4度でも5度でも、完全試合のチャンスはあるでしょう」。

 一生に一度あるかどうかという完全試合も、佐々木には当てはまらない。BIGBOSSの言葉は、ファンの不満が噴出しなかった背景を言い当てている。

ショートアーム投法

 井口監督は今回の交代によって、球史に残る大記録、そして、チームの勝敗すら二の次にしてでも、佐々木を故障から守る方針を明確に打ち出した。チームより一選手を優先する――。佐々木の規格外の活躍ぶりは、長く個人主義を排してきた日本球界の有り様まで変えようとしているのだ。

 とはいえ、「令和の怪物」を育て上げることは、一チームにとどまらず、球界全体の一大テーマとなった。

「井口監督のプレッシャーは想像を絶します。佐々木が故障すれば、矛先が自分に向くのは間違いありません。今後も球数を厳密に管理し、少しでも体調に異変があれば登板間隔を空けるでしょう。チームの勝敗とは別に、その起用法で神経を擦り減らすことになると思います」(ロッテ番記者)

 一方、渡米を心待ちにする大リーグの代理人はある懸念を示す。この人物が強く勧めるのは、佐々木のフォーム改造だ。

「近年、メジャーでは、ダルビッシュやトレバー・バウアー(ドジャース)ら有力投手が、テークバックを小さくした“ショートアーム”投法を取り入れています。大きなテークバックが、肩や肘に負担をかけることが知られるようになったからです。正直なところ、長い手足を存分に活かした佐々木のダイナミックなフォームには冷や冷やしますよ。球威が落ちるショートアームを取り入れても、彼ならば150キロ台を保てますし、制球がより良くなって十分に勝てる。早急に変えてもらいたいですね」

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