ロシア軍が使うドローン「オルラン10」のエンジンは日本製 意外にもゼロ戦の技術で開発

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 ウクライナ軍はドローンを効果的に使い、ロシア軍を苦しめている──ウクライナ侵攻において、こうした報道が非常に多いのは周知の通りだ。だが、ロシア軍もドローンを活用しており、なおかつ“中枢”とも言うべきエンジンは日本製なのだという。

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 ある軍事ジャーナリストは「軍事用ドローンの活用戦略において、アメリカ軍とロシア軍は対照的なアプローチをしています」と言う。

「アメリカ軍は、攻撃用と偵察用の両方に、多額の予算を投下しています。経営学用語で言う『フルライン戦略』というところでしょうか。武器供与でウクライナ軍が恩恵に与っているのは報道の通りです。一方のロシア軍は、攻撃用ドローンの開発には苦戦しています。そのため現状は、偵察用ドローンにリソースを集中しています。その結果、誕生したのが『オルラン10』です」

 偵察用のドローンと聞くと、小さなプロペラが4つ付いた、民生用のドローンを思い浮かべる人が多いだろう。

 実際、ウクライナの市街戦では、民生用ドローンがロシア軍の動向を探るために活躍している。

 だが、ロシア軍の「オルラン10」には、主翼や水平尾翼、垂直尾翼が取り付けられている。プロペラは機首に1つだけで、ラジコンのプロペラ機にそっくりなのだ。

エンジンは日本製

「翼の長さは左右を合わせて約3メートル、重さは14キロ前後と言われています。高度5000メートルまでの上昇が可能で、航続距離は120キロとか150キロとする報道も散見されます。ちなみに、東京の日本橋から静岡のJR沼津駅までが約130キロです」(同・軍事ジャーナリスト)

 日本の新聞社などは、一般的なドローンと誤解されないよう配慮しているのか、オルラン10を「無人偵察機」と呼んでいるようだ。

「ロシア軍がオルラン10を開発した理由の一つが、『着弾観測』のためでした。大砲から発射された弾が、初弾から命中することはまずありません。砲兵隊では担当者が着弾地点を観測し、目標に命中させるためにどれだけ修正すべきかを無線などで報告するわけです。この任務は戦闘中ともなれば、命がけになる場合もあります」(同・軍事ジャーナリスト)

 そこでロシア軍は、リスクの高い「着弾観測」をドローンにやらせようと考えたという。

 砲撃が10分や20分で終わることはない。場合によっては一日中撃ち続けることも珍しくない。ロシア軍がオルラン10のエンジンに高性能の日本製を選んだのは、それが理由だ。

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