韓国人はなぜ「ウクライナ」に冷たいのか ゼレンスキー演説を聴いたのは国会議員の2割

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 ウクライナに対する韓国の冷淡さが際立つ。ゼレンスキー大統領は韓国国会でもロシアの侵略を非難したが、このオンライン演説を傍聴した議員は2割弱に留まった。起立しての拍手もなかった。韓国観察者の鈴置高史氏が「異質性」を読み解く。

ガラガラの演説会場

鈴置:韓国メディアが国会を非難しました。4月11日夕刻に実施したゼレンスキー大統領の国会演説での対応が、他国のそれと比べ極めて「みすぼらしかった」というのです。

 初めに書いたのは朝鮮日報です。「座席は『ガラガラ』 起立拍手もなく…ゼレンスキー国会演説に議員らは『無関心』」(4月11日、韓国語版)の前文を訳します。

・ウォロディミル・ゼレンスキー・ウクライナ大統領が11日、韓国国会でオンライン演説した。ゼレンスキー大統領はウクライナがロシアの侵攻を受けた後、EUをはじめとする23カ国でオンライン演説しており、韓国は24番目の国家になった。
・ところが、オンライン演説の雰囲気は他の国と大きく異なった。他国の国会はゼレンスキー演説を聴こうとする議員たちで空席を探すこともできなかったが、韓国ではあちこちに空きが目立った。他の国では見られた起立拍手もやはりなかった。

 参加した議員は50人強と報じました。韓国は一院制で議員は300人いますから、20%にも満たなかったのです。記事には「ガラガラ」を示す会場の写真に加え、満席のスペイン・カナダ・ドイツ・米国の議会、岸田文雄首相や細田博之衆議院議長らが起立して拍手する日本の講演会場の写真が添えられました。

 東亜日報は「ゼレンスキーオンライン演説に議員60人が参加と『冷ややか』…軍は『武器支援』要請に『殺傷武器はダメ』」(4月12日、韓国語版)で国会を非難しました。

 参加した議員の数は60人と報じましたが、国会議長ら議長団の姿はなかったと不誠実さを強調。米国の演説では下院議長ら各党の議員が議場を埋め尽くしたと説明のうえ、すし詰め状態の写真を載せました。史上初めて外国の元首に議場を提供して首相も参加した英国、岸田首相以下、外相や防衛相も詰めかけ空席はなかった日本の例も紹介しました。

演説中に携帯見る議員

 国会の多数党が左派の「共に民主党」だから、批判するのは保守系紙だけかなと見ていたら、一応は保守系紙に分類されるものの中道化している中央日報や、左派系紙も4月12日午後になって非難に加わりました。

 中央日報の「『ゼレンスキー大統領の演説』会場満杯になった日米…やっと50人の韓国国会が恥ずかしい」(4月12日、日本語版)は、演説場所が本会議場や議員会館でなく、国会の図書館だったことを指摘し「腰の引けた」姿勢に疑問を投げかけました。

 さらに、「ガラガラぶり」がロシアの宣伝にも利用されたと嘆いたのです。以下です。

・こうした恥ずかしい姿は韓国がウクライナ情勢に無関心だという宣伝扇動素材にまで活用された。ロシアの極東連邦大学のアルチョーム・ルーキン教授は12日、ツイッターに韓国国会図書館の座席の相当数が空いている写真を投稿し、「アジアがウクライナに関心がないというまた別の証拠」と主張した。

 左派系紙のキョンヒャンも「ゼレンスキー演説とガラガラの国会…共感能力も政治感覚もゼロの国会の現実」(4月12日、韓国語)で、ハンギョレも社説「ゼレンスキーの訴えに『がらんとした国会』が見せた恥ずかしい韓国の外交」(4月13日、日本語版)で国の恥を非難しました。

 見出しにある通り、いずれの左派系紙も「ガラガラ」に焦点を当てました。キョンヒャンは韓国でのゼレンスキー演説が世界で24番目だったことから、G7首脳会談に2度連続で招かれたと大騒ぎで広報したのと比べ遅すぎるとも指摘しました。

 ハンギョレは「約17分間の演説にも集中できず、携帯電話を見る議員も目についた」と、国会議員のふまじめさも報じました。

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