ラランド・ニシダが語る予備校時代の“心根が腐った”友達 クズ過ぎる二人の思い出とは
今は使うことのない下劣な言葉で
あのときの匂いが新宿にあった。汚水の悪臭と胃袋から漏れ出たニンニク臭が混じり合った匂い。
夏期講習が終わる頃、君は突然予備校に来なくなった。心を病み、行方をくらます浪人生はままいる。珍しいことではない。大山と古谷は順調に偏差値を伸ばし、君の行きたがっていた慶應大学に合格した。君が受験から逃げ出したのか、どこかで勉強を続けていたのか分からない。最悪の場合死んでしまったのかもしれない。どの可能性の君も想像がつく。ちなみに村山は聞いたことのない大学に行った。君のことはさっきまで忘れていたのに、顔を汁まみれにしてむせび泣くあいつの姿は忘れたことがない。実に見ものだった。この話を共有して笑い合えるのは、君の他にいない。もしも、もう一度会えたら、今は使うことのない下劣な言葉を尽くしてそのことを話させて。
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