新庄剛志監督も期待大…4年目「万波中正」を他球団はどう見ているか?

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好不調の波が激しく、1試合5三振も

 ただ、その後の万波は、決して“順風満帆”だったとはいえない。1年春からベンチ入りを果たし、その夏の神奈川大会では、横浜スタジアムのバックスクリーンを直撃する特大弾を放ったが、とにかく好不調の波が激しく、2年夏の神奈川大会、東海大相模戦では1試合5三振を記録している。

 特に、状態が悪かったのが3年春だ。筆者が現地で見た藤沢翔陵との試合では、7番で先発出場をするも、相手投手の変化球に全くタイミングが合わず、第4打席には代打を送られ、途中でベンチに退いている。

 3年夏の神奈川大会では、2本のホームランを放ち、復調の兆しを見せるも、続く、夏の甲子園では3試合で14打数2安打という寂しい結果で高校野球生活を終えている。パワーと運動能力があっても、とにかく打撃が不器用すぎる印象を受けていた。日本ハムがドラフト4位で指名した際に、正直に言って「指名順位が高い」と感じたほどだった。

 しかし、万波が持つ潜在能力に賭けたのが日本ハムだった。ルーキーイヤーから二軍でチームトップの14本塁打を放ち、頭角を現し出す。

「二軍レベルはもう卒業」

 この年、日本ハムの遠藤良平GM補佐とお会いした時に、「二軍でもここまで打てるとは思いませんでした」と伝えたところ、「自分が見た練習試合では、凄いホームラン2本でした。1年目からここまでやってくれれば期待通りです」と話していたのをよく覚えている。短所には少々目を瞑り、長所を伸ばそうとする日本ハムの育成方針が、万波にマッチしていたようだ。

 冒頭で触れたように、現時点での打率は1割台前半で、まだまだ一軍レベルに対応しているとは言い難い状況である。それでも、ここまで放っている2本のホームランは、いずれも打った瞬間にそれと分かる当たりだった。

 万波に対して、他球団の関係者も警戒を強めているようだ。

「プロ入りした頃は、とにかく力いっぱい振っていましたが、去年から徐々に力を抜いても強く打てるようになったように見えますね。去年も二軍では打率を残していますし、『二軍レベルはもう卒業かな』という印象です。あとは一軍の投手が投げる変化球にどこまで慣れてくるか。去年の(パ・リーグ本塁打王に輝いた)オリックス・杉本裕太郎がそうでしたが、形の悪くても何とかヒットが出て、ある程度打率が残ってくれば、打席数も増えて必然的にホームランも増えると思います。6番くらいを打って、ホームランを量産するようになると、他球団にとっても厄介な存在になりますね」(NPB球団のスカウト)

 万波は今シーズン、秘めたる能力をどこまで発揮することができるだろうか。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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