コロナ「BA.2」の感染力、重症化率は高くない? 四つ以上の「基礎疾患」に要注意

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風邪や花粉症との区別が難しい

 症状はどうだろうか。

「BA.1とほぼ同様だと捉えていいと思います。デルタ株のときは、肺でウイルスが増殖して呼吸が苦しいという症状が多かったですが、BA.2を含めたオミクロン株では、のどの痛みやせき、鼻水など上気道の症状が特徴的。コロナ禍の初期には、味覚や嗅覚の障害がよく取り上げられましたが、BA.1にはそういった症状はあまり見られず、BA.2も同様です。ただ、特徴的な症状があまりなく、風邪や花粉症との区別が難しいと感じます。しかし、見分け方は発熱や目のかゆみの有無。花粉症だけで発熱することは少なく、オミクロン株に感染して目がかゆくなったという例は報告されていないので」

治療薬は効くのか

 ところで、今回話を聞いた医師全員が、とりわけ65歳以上の高齢者にとっては、3回目のワクチン接種が重要だと説き、角田医師は、

「いま2回接種したワクチンの中和抗体が下がっている時期に重なり、これから感染者数がかなり増える可能性も懸念されます」

 と述べる。そこでBA.2に対するワクチンの効果についても、寺嶋教授の説明を聞きたい。

「イギリスの報告では、ワクチンを2回接種して25週経過すると、予防効果はBA.1で10%、BA.2で18%にまで低下します。ところが3回目のブースター接種を行うと、BA.1では接種後4週目まで69%、5~9週で61%、10週以降で49%、効果が持続しています。これがBA.2ではそれぞれ74%、67%、46%で、ワクチン接種による予防効果も、BA.1と差はないと思われます」

 では、治療薬に関してはどうだろうか。

「BA.1には抗体カクテルの効果が認められにくい。また、査読前のアメリカの論文には、抗体製剤ソトロビマブの効果が、BA.2に対してはBA.1の32分の1だというデータがあります。BA.1とよく似たBA.2も、抗体製剤が十分に効かない心配があります。抗体製剤は主にスパイクタンパク質にくっつき、ウイルスの細胞への侵入を防ぎますが、スパイクタンパク質の変異が多いと、くっつくことができずに効果が下がることがあります」

 だが、その一方で、

「レムデシビルや、メルクが開発したモルヌピラビル、ファイザーが開発したパクスロビドなどの効果は、持続していると思います。こうした抗ウイルス薬は、ウイルスが細胞に入った後の増殖などを妨げるので、スパイクタンパク質に変異があっても、効果が落ちにくいのです」

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