新庄監督、初勝利後に後輩に送ったLINEの中身は “珍采配”の理由を専門家が解説
実は“緻密”な戦略
一見、支離滅裂なこれらの采配をどう受け止めればいいのだろうか。
「ビッグボス野球を一言で表すと、実は“緻密”なんです」
と解説するのは日ハムOBで新庄監督とも親交のある岩本勉氏。
「新庄という野球人は奇策の裏に根拠があり、根拠があって奇策を打つ。現役のときにはシラーッと大振りで空振りしてタイミングが合っていないように見せて、同じ球がくるとスタンドに放り込んだり、ネクストバッターズサークルでぶんぶん振っていざ打席に入ると、セーフティバントをするような選手でした」
一連の采配についても「狙い」があるそうで、
「26人のベンチメンバー全員が1軍の公式戦の雰囲気を味わえということだと思います。実際、札幌での開幕戦となった西武戦以降は、先発ピッチャーには責任イニングを投げさせています」(同)
選手と別のホテル
しかし、結果がついてきていないことは事実。だからこそ、初勝利となった3月31日の西武戦後はよほど嬉しかったようだ。
阪神と日ハムで新庄監督とともにプレーし、現在は石狩レッドフェニックスで監督を務める坪井智哉(ともちか)氏によれば、
「初勝利を挙げたゲームは理想的な試合運びだと感じました。新庄さんは手堅く走者を塁に進める細かい野球を目指しているのだと思います。そこはやはり野村克也さんの申し子。この試合では野村さんの影響が垣間見えました」
試合後、坪井氏は“おめでとうございます”と新庄監督にLINEを送ったという。すると、
「“無難な道はつまらないぜ”と新庄さんのキャラが喋っているスタンプが返ってきました。“優勝は目指さない”と公言していますが、さすがにホッとしたのだと思います」
実は“無難な道”を歩まないのはグラウンドの外でも同じだそうで、
「遠征先での宿泊ホテルは選手と別のホテルを取ることがあるんです。これは球界では珍しいですね。新庄さん自身がホテルを選ぶこともあれば、仕事先のスポンサーが予約することもあるそうです。グラウンドの外では自由でいたいということなのでしょう」(運動部デスク)
これから続く長く険しいペナントレース。ビッグボスが演出する“無難”とは程遠い「ショー」は始まったばかりだ。
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