「死亡ひき逃げ事件」の時効撤廃へ 遺族の思いが県議会を動かし国に意見書提出

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国は本格的な議論を

 死亡ひき逃げ事件を巡る現行法の時効は、道路交通法違反(ひき逃げ)で7年、自動車運転死傷行為処罰法違反の過失運転致死傷罪で10年、危険運転致死罪で20年となっている。このため、死亡ひき逃げ事件では、過失運転致死罪の時効10年で捜査が打ち切られるケースがほとんどだ。

 だが、孝徳君の事件では、19年9月に過失運転致死罪の時効10年が迫りつつある中で、代里子さんは時効廃止や危険運転致死罪(時効20年)の適用を求める署名活動を開始。危険運転致死罪は、犯人が飲酒や薬物の影響下で運転した場合などに適用されるため、埼玉県警は前例がないとして当初は罪名変更に消極的だったが、代里子さんが同年8月にその時点で集まった約3万人分の署名を国に提出するなど熱心に働きかけたこともあり、時効成立12日前の同9月18日、危険運転致死罪に切り替える異例の措置が取られている。

 代里子さんは「捜査を続けてくれるのはありがたいけれど、また時効はやってくる。犯人が捕まらない限り、息子の無念は晴れません」とした上で、「死亡ひき逃げの時効を必ず撤廃してほしい。時効成立によって悲しい思いをする遺族を一人でも減らせれば、と思っています。今回の埼玉県議会が意見書を可決したことは非常に大きなことであり、次は国にしっかり動いてほしいです」と訴える。国は代里子さんや埼玉県議会の意見にしっかり耳を傾け、死亡ひき逃げ事件の時効撤廃に向けた本格的な議論を進めるべきだ。

デイリー新潮編集部

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