取り調べでカツ丼はNG、捜査員は遺体に手を合わせる… 警察監修「五社巴さん」が語る刑事ドラマのリアル

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警察監修チームに求められる「条件」

 警察監修チームというより捜査チームのような顔ぶれだが、そもそも監修チームを結成したのはなぜなのか。

「まず既に個人で警察監修をしていた飯田裕久さんとの出会いがありました。2008年のことです。父から引き継いだ五社プロダクションに隆大介さん(故人)が所属していて、彼が出演した刑事ドラマの監修を飯田さんが担当していたからでした」

 飯田さんの存在によって警察監修という仕事を知り、「面白そうだ」と思ったという。もともと刑事という職業に興味があった。また、父譲りで映像の仕事にも関心が高かった。

「父は仕事が命で、ほとんど家にいない人でしたが、刑事も仕事が忙しくて家にいないと聞いていました。だから興味があったんですよ(笑)」

 飯田さんと2人で警察監修の事務所を立ち上げたのは2009年。しかし翌2010年、飯田さんは46歳の若さで急逝した。その後、飯田さんの上司らに声を掛けるうち、現在の陣容になった。

 チームに入る際、何か条件はあるのだろうか。

「途中退職者はお断りしています。万一、何かあっての途中退職だったら、警察監修を名乗れませんので。メンバーたちの考えです。また、メンバーの知り合いが紹介の方に限定しています」

 主演の二宮和也(38)がゲーム会社社長に扮し、多部美華子(33)がその妻を演じる「日曜劇場 マイファミリー」(4月10日~)も監修する。2人の1人娘が誘拐されてしまうという設定である。

 サンドウィッチマンの富澤たけし(47)が神奈川県警捜査1課長に扮するという異色の配役だが、五社さんは「捜査方法がリアルですよ」と自信をのぞかせる。

 逆探知などに頼る捜査方法はもう古く、実情と合っていないそうだ。元捜査1課長・久保氏が、細かく台本や所作の指導をチェックする。

 4月スタートのドラマではほかに「特捜9 season5」(テレビ朝日 6日~)、「警視庁・捜査一課長 season6」(同、14日~)、「インビジブル」(TBS、15日~)、「金田一少年の事件簿」(日本テレビ、24日~)、「嫌われ監察官 音無一六」(テレビ東京)を監修する。

 さて、チーム五社が担当する刑事ドラマはほかの刑事ドラマとは、どう違うのか。

五社巴(ごしゃ・ともえ) 1958年、東京生まれ。早大卒業後、週刊誌のグラビア記者として活躍する。2008年、父・五社英雄監督が興した五社プロダクションを継承し代表に。2009年より警察監修のマネジメントに携わる。著書に『さよならだけが人生さ―五社英雄という生き方』(講談社)、『映画極道 五社英雄』(徳間書店)がある。作家の誉田哲也氏とチーム五社メンバーの対談集『誉田哲也が訊く!警察監修プロフェッショナルの横顔』(光文社)が1月末に刊行された

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

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