いよいよ始まる期待の「春ドラマ3選」 キムタクはボクシング部コーチ役でクサいくらいの熱い作品に

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

Advertisement

テレビ朝日「未来への10カウント」(14日スタート、木曜午後9時)

 キムタクこと木村拓哉(49)にとって主演連続ドラマは2020年の「BG~身辺警護人~第2章」(テレ朝)以来となる。

 キムタクはドラマに出演する際、企画と脚本を慎重に吟味することで知られる。この作品への出演を決めたのも企画と脚本(福田靖氏)が気に入ったからだろう。2人は2001年から2015年の大ヒットシリーズ「HERO」(フジ)、2008年の「CHANGE」(同)で組んでおり、相性がいい。

 キムタクが演じる主人公は桐沢祥吾。高校時代にボクシング日本一になったが、大学ではある事情により選手生活を断念した。その後、最愛の妻を亡くし、生きる希望をすっかり失ってしまう。ピザ屋の宅配のアルバイトで食いつないでいたものの、「いつ死んでもいい」と口にしていた。

 それを見かねた母校のボクシング部の元監督・芦屋賢三(柄本明、73)が、部の後任監督に据え、生きる気力を取り戻させようとした。桐沢はこれを断ったものの、懸命にサンドバッグを叩く高校生たちを見るうち、何かが変わり始める。

 人生というリングでKO負けを喫したはずの桐沢が、再び立ち上がり、ファイティングポーズを取る。クサいくらいに熱い作品になりそうだ。

 半面、そこが買える。ドラマ界はいつの間にか物わかりの良いシラケた主人公が増えた。中には熱くなる主人公もいるが、その対象は恋愛ばかり。スポーツや生徒の指導に熱くなる物語は古くて新しい。

 キムタクは今回も格好いい男を演じる。相変わらずでワンパターンなのだが、それもいいのではないか。年下の上司に叱られるサラリーマンや世渡り上手の男に扮するキムタクなど観たくない。

 また、ほとんどの役者がバラエティ番組やインタビューで三枚目な部分やひょうきんな面も見せるようになってしまい、格好を付けた姿しか観せない役者はキムタクくらいになった。

 三枚目の部分やひょうきんな部分を観せられたら、心の底から「格好いい」とは思えない。その点、ひたすら格好を付け続けるキムタクはプロである。

 チーフ演出は2016年の「ダメな私に恋してください」(TBS)などを撮ったフリーの実力派・河合勇人氏(53)が担当する。

 満島ひかり(36)がボクシング部顧問の古文教師・折原葵役で登場。地上波連ドラへの出演は2017年の「監獄のお姫さま」(TBS)以来となる。

フジ「元彼の遺言状」(11日スタート、月曜午後9時)

 この作品もまず脚本が期待できる。原作は東大院修了の元プロ雀士で弁護士資格を持つ新川帆立さん(31)の同名小説。2020年の「このミステリーがすごい!」で大賞を受賞した。脚本化は同年の映画「青くて痛くて脆い」の杉原憲明氏らが行う。

 主人公は綾瀬はるか(37)が演じる弁護士の剣持麗子。頭が良く美人でスタイル抜群だが、それゆえに他人を見下す。また、おカネが大好き。裁判はどんなあくどい手を使ってでも勝とうする。強気一辺倒の女性である。だが、それが裏目に出てしまい、大失敗をやらかす。

 そんな折、半年間だけ付き合った麗子の元カレ・森川栄治(生田斗真、37)が、「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という奇妙な遺言状を残し死ぬ。その額は1080億円と途方もなかった。

 それを麗子に伝えてきたのは栄治が暮らしていた別荘の管理人・篠田敬太郎(大泉洋、49)。栄治のサークルの先輩で麗子を知っているというが、麗子にはおぼえがない。謎めいていた。

 篠田は麗子に対し「代理人になって僕を犯人に仕立ててほしい」と依頼する。晴れて篠田が犯人となったら遺産を山分けすることになった――。

「犬神家の一族」以上に奇妙な遺言状をめぐる物語。そもそも本当に他殺なのか?

 チーフ演出は「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」シリーズ(2019年~2021年)の鈴木雅之氏(63)が担当する。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。大学時代は放送局の学生AD。1990年のスポーツニッポン新聞社入社後は放送記者クラブに所属し、文化社会部記者と同専門委員として放送界のニュース全般やドラマレビュー、各局関係者や出演者のインタビューを書く。2010年の退社後は毎日新聞出版社「サンデー毎日」の編集次長などを務め、2019年に独立。

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 次へ

[2/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。