大阪桐蔭がセンバツで優勝 スカウティングだけではない「有望な中学生」が集まる理由

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“野球留学生”が突出して多いわけではない

 強い、強すぎる――。

 選抜高校野球で4年ぶり4度目の優勝を果たした大阪桐蔭(大阪)の戦いぶりをそう感じた人も多かったことだろう。準々決勝以降の3試合は圧巻で、17対0、13対4、18対1と、いずれも二桁得点の大勝。準々決勝の1試合6本塁打は大会タイ記録、1大会11本塁打は大会新記録となった。2回戦で対戦予定だった広島商(広島)が、部員の新型コロナウイルス感染で出場辞退し、1試合少ない中での新記録樹立は見事という他ない。今大会の本塁打18本のうち11本を大阪桐蔭打線が放ったという点もまた、圧倒的な強さを象徴している。【西尾典文/野球ライター】

 大阪桐蔭の強さを語る時に、必ず指摘されるのが、選手のスカウティングだ。全国からレベルの高い選手を集めているのだから勝つのは当然と思われがちだが、将来有望な中学生に対する熱心な勧誘は、甲子園の常連校であれば、どのチームもやっている。

 今大会の出場校をみると、浦和学院(埼玉)はベンチ入りした18人のうち半数の9人が関東圏以外の中学出身で、星稜(石川)は、8人が北陸3県以外の中学から進学してきた選手である。一方、大阪桐蔭は、ベンチ入りメンバーのなかで、近畿圏以外の中学出身選手は8人だった。この数字を考慮しても、大阪桐蔭だけが、いわゆる“野球留学生”が突出して多いわけではない。

卒業後の進路が魅力的

 大阪桐蔭のコーチは以前、筆者の取材に対して、こんなことを話していた。

「来てほしいと思った選手が、みんな、うちに来てくれるわけではありません。こちらが見に行っていない選手まで『大阪桐蔭が見に来た』と勝手に噂されていることもありますね」

 どうやらイメージによって、大阪桐蔭のスカウティングが、事実よりも大きくなって伝わっているケースも多分にあるようだが、選手が行きたくなるようなチーム作りをしているのは間違いない。とりわけ、卒業後の進路が魅力的だ。プロ野球に数多くの選手を輩出しているのはもちろんだが、それ以上に、大学野球や社会人野球で活躍している選手が多い。

 大学野球で最も人気があるリーグ、東京六大学をみると、中川卓也(早稲田大4年)、山田健太(立教大4年)、宮崎仁斗(立教大4年)、藤江星河(明治大2年)、加藤巧也(明治大2年)、吉安遼哉(法政大2年)などが、現在、神宮球場を舞台にプレーしている。なかでも、中川と山田は今秋のドラフト会議で指名が期待される逸材だ。また、他のリーグでも、毎年のように大阪桐蔭出身の選手がチームの主力に成長している。

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