勤務する「援デリ」が摘発されても… 業界歴26年、アラフィフ風俗嬢が語る“サバイバル・ライフ”

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アラフィフ風俗嬢の苦労

 パパ活の半分素人みたいな女性たちが増えた今、詩織ほどのプロの“売る女”は珍しい。四国出身の彼女は、大学入学を機に上京し、卒業後は大手IT会社のシステムエンジニアとして働いていた。学生時代からキャバクラでアルバイトをしていたそうだ。

「うちは実家が自営業で余裕がなかったから。学費もそうだけど、東京って凄いお金かかる。家賃はもちろん、洋服も同じものをいつも着れるわけじゃない。他の子は仕送りとかもらってたけど、私にはそれがなかった」

 結局は金銭感覚が狂っている、ということになるのだろう。以前はごひいきのネイリストに頼むため、わざわざ東京から京都まで通っていると言っていた。学生にして借金を背負い、そして社会人になっても金銭感覚は変わらなかった。大学卒業と同時に風俗嬢デビューをしたそうだ。

 しばらくは昼は社会人、夜は風俗嬢の生活を続けていたが、

「でもねぇ、私は一般の会社員っていうのが続かない。好き嫌いはっきりしてるから、やりたくない仕事はやりたくない。そんなの通用しないでしょ。フツーの昼の会社は」

 せっかく入った会社も2年で退職。以降は風俗一本で暮らしてきた。ソープランドで働いていた頃は講師も頼まれるほどのテクニックを持つ彼女だが、コロナ禍になり援デリに移行する前の数年間は、都内ではなく地方への出稼ぎで暮らしていた。

「年齢的に、都内のお店の待遇が悪くなってて。地方のほうが、まだ対応が良い店があるから」

 彼女が地方で働きだした頃は、AV女優の出稼ぎ先としても、地方の風俗店が盛り上がり始めていた時期。援デリで働きだしていたこともしかり、本人が知ってか知らずか、詩織は風俗の“トレンド”を生きている。

 とはいえ、援デリは違法風俗店である。女性本人に捜査の手が及ばすとも、今回のように、店が摘発されて食い扶持を失うリスクはある。

「大丈夫だよ。摘発されて一週間後にはお店、再開してるから。でも、スペ(※身長マイナス体重の意味)110以上の30代女性しか採用しないことになっちゃって、もう働けなくなっちゃった。新しいところを探しているけれど、どこも難しい。やっぱりコロナはお客少ないから仕方ないね」

酒井あゆみ(さかい・あゆみ)
福島県生まれ。上京後、18歳で夜の世界に入り、様々な業種を経験。23歳で引退し作家に。近著に『東京女子サバイバル・ライフ 大不況を生き延びる女たち』ほか、主な著作に『売る男、買う女』『ラブレスセックス』『東電OL禁断の25時』など。Twitter: @muchiuna

デイリー新潮編集部

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