「ウクライナ侵攻」拡散されたTwitter動画から見える若いロシア兵の“士気の低さ”と“迷い”

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 プーチン大統領は焦っているという。当初の目算では、とうに首都キエフは陥落しているはずだった。祖国防衛で団結するウクライナ兵が、予想以上の抵抗を見せているのだ。ロシア軍が手こずっている原因の一つに“士気の低さ”も挙げられる。なぜ同じ民族を侵略しなければならないのか――。ウクライナ側から拡散された動画を見ると、若いロシア兵たちのそんな“迷い”が垣間見えてくる。

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怯える若い兵士

「誰もおまえらを呼んでないぞ! おまえらのせいでたくさんのウクライナ人が死傷したんだ!」

 私服姿のウクライナ人たちが、拘束された軍装のロシア兵を問い詰めている。20歳くらいにしか見えないロシア兵は怯えきった様子だ。耳を両手で覆って、何も答えることができない。怒鳴られてビクンと屈むような仕草も。ウクライナ人によってTwitterで拡散された動画である。

 ウクライナ側の発表によると、ロシア軍の犠牲者は3月1日現在で約6000人。多数の捕虜も出ている模様で、Twitterを検索すると他にも捕虜を尋問する動画が散見される。

 戦車部隊所属とおぼしきロシア兵を尋問している動画では、116番と書かれたヘルメットをかぶった兵士の顔が大きく映っている。見るからにあどけない。ウクライナ兵に名前と年齢を問われ、彼は「21歳」と答えた。「どこから来た?」という問いに「レニングラードから来た」と答えると、「おりこうさんだな」とウクライナ兵は返した。

ジュネーヴ条約

 ロシア兵が目的をきちんと知らされないまま前線に送られていた可能性を示唆する動画もあった。目の下に怪我を負ったロシア兵が直立して尋問を受けている。

ウクライナ兵:ここで何をしていたんだ?
ロシア兵:演習に出された。そしてここに送られた
ウ:どこからだ?
ロ:ニジニ・ノブゴロド
ウ:(皮肉っぽく)男前じゃないか

 自衛隊OBはこれらの動画を見て次のように解説する。

「捕虜の扱いについてはジュネーブ条約で決まっていて、捕虜は尋問された場合、【1】氏名、【2】階級、【3】識別番号、【4】生年月日を答えなくてはいけません。逆にそれ以外は聞かれても答える必要はありません。動画を見ている限りでは、ウクライナ側の扱いは丁寧で国際法を理解して遵守している印象があります」

 だが、このような動画がSNS上でさらされている状況については、

「ジュネーヴ条約は捕虜に対する精神的拷問や不快な待遇を禁じています。顔や名前をネット上にさらして捕虜を辱めているという点では問題があるかもしれません。同条約は50年以上前に制定されたものなので、こういった事態を想定していません」(同)

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