維新にすり寄る医療グループに「疑惑の市有地取引」 吉村市長時代に事業者が決定

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吉村知事の勧告は…

 大阪府大阪市保健医療連絡協議会などでの議論の中で、医誠会は病床計画について2度修正案を出したという。

「最終案とされているのは、高度急性期98床、急性期344床、回復期118床というものです」

 大阪府医師会関係者(前出)はそう話す。

「当初計画にはなかった回復期病床が入っていますが、これは一種のまやかし。医誠会は“急性期病床に一定数いるであろう回復期の患者”を118人と仮定し、その数だけ回復期病床を作ると表明していますが、実態としては全て急性期病床ということ。実際、診療報酬に関しては回復期病床も急性期病床の入院基本料で算定する、と医誠会は話しています」

 そんな医誠会に対して、地元医療界は「吉村知事による勧告・命令」を出すことを求めている。

「勧告を出すには、病院の種類などによっていくつかパターンがあるのですが、今回は既存の2病院が統合されることから、『医療法第30条の15』という、既存の病院が病床機能を転換することに対し中止を要請できるような条項が適用されると考え、協議会などで話し合いを続けてきました」(同)

不可解な言い分

 しかし、である。新病院の建設が始まる数カ月前、

「突如として大阪府の担当者が“この病院は統合して再編するので新設。新設病院には医療法第30条の15は適用できず、知事の勧告もできない”と言い出したのです。既存病院の移転統合であるのは明らかなのに、都合が悪くなると“新設”というのはどう考えてもおかしいです」(同)

 協議会は1月27日にも行われ、そこでも「知事勧告」について議論された。

「大阪府や医誠会が『新設病院』と言い張るのであれば、新設病院がその地域で過剰状態にある病床を増やそうとするのを止めるよう知事が勧告を出せる、とする『医療法第7条第5項』もある。これについて話し合いが行われたのですが、大阪府の担当者は“これを適用すると新設病院全てにやらなければならなくなるから……”と。何としても知事の権限を行使させたくない様子でした」(同)

 一連の経緯について医誠会に取材を申し込んだが、

「当法人としての対応を検討した結果、今回貴社からいただいたご質問に対する回答は、差し控えさせていただくことになりました」

 として回答を拒否。

 大阪府の担当課は、

「大阪府としては過剰病床である高度急性期病床への転換を控えるよう引き続き医誠会に対して指導などを行っていく」

 などと答えた。

 吉村知事が「勧告」で強い指導力を発揮すれば、民間医療業界とのギクシャクした関係が改善され、コロナ対策にも一条の光が射し込む――かもしれない。

週刊新潮 2022年2月24日号掲載

特集「『橋下徹が特別講演』『大阪府に3千万円寄付』大阪医療界大揺れ!『維新』すり寄り『医療グループ』に『疑惑の市有地取引』」より

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