高校中退の相川七瀬が語る「47歳の女子大生生活」 40代で大学受験に挑戦…「こんなに大変だとは!」

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テストがあるたびに恐怖とプレッシャー

 とはいえ、学生生活を仕事と両立させ、また主婦もしながら続けるのはやはり簡単ではなく、キツく感じることも日常茶飯事です。具体的には、今年度の後期は月曜日、火曜日、金曜日が各3コマ、水曜日は2コマの授業を受けています。そこにレポート提出があり、予習・復習も欠かせない。

 それでもやれているのは、自分が純粋に学びたいことを学んでいて、生き甲斐を与えてもらっていると感じているからです。テストがあるたびに震えるような恐怖とプレッシャーが襲ってきましたが、自分が覚えやすいような工夫をして何とか乗り切ってきました。

 例えば、私はミュージシャンのくせして、耳で覚えられないんです。今さらながらそのことに気づきました。どうりで歌詞を聞いただけでは覚えられないはずです……。だから文章などを書いて、目で覚えるようにしています。それでも頭に入らない時は絵と情報を紐づけて、この絵やイラスト、写真が出てきた時にはこう答えるみたいな感じです。

やりたいことがあるなら扉を叩いてみる

 最初は、こんな膨大な量は覚えられないと途方に暮れ、年だから無理なんて弱音を吐いていましたが、それは覚えようとしていなかっただけ。なぜなら、工夫をしたら覚えられた自分がそこにいたから。なんだ何歳になってもやれるんだ!ってね。おかげさまで、最近はテストが近づいてきてもあまり恐怖を感じなくなりました。

 改めて、やりたいことがあるなら、扉を叩いてみることが大事だと実感しています。

 そうやって別の世界に飛び込んで行くと、新しい人間関係が待っていて、その人間関係からさらに違う世界が開ける。そして新しい人間関係ができると今までの人間関係の大事さも再認識させられて、そっちも円滑になる。つまり自分が充実する。

40代の学び直しで仕事にも好循環を

 このことが今、歌にもとてもいい影響を与えていると思います。デビューして25年、今さらながら「歌う」とは「自分の身体を鳴らすこと」なんだと身に染みます。だから、心の状態がフラットで落ち着いていないと、いい歌は歌えない。

 10代は恋愛だったり、30代はキャリアアップだったりを気にしてブレますよね。それが今はほとんどない。40代になったからこそ、学び直しが仕事にも好循環をもたらしてくれているんじゃないかなと感じています。

 なので、私でもやれたんですから、40代、50代での学び直しは、みなさんにもできると思います。いくつになっても、本当にできる。

 なぜなら、学校やそういう環境に入ってしまえば、否応なく勉強しなければいけない状況に置かれます。テストも、どう足掻(あが)いたところで絶対にやって来るじゃないですか。だから結局は……。

 やるしかなくなるんですよね。

相川七瀬(あいかわななせ)
歌手。1975年生まれ。音楽プロデューサーの織田哲郎氏に見出され、95年に「夢見る少女じゃいられない」でデビューする。翌年、紅白歌合戦に出場。多くの曲を作詞し、音楽活動以外にも、絵本、小説、旅エッセイなどを出版している。

週刊新潮 2022年2月24日号掲載

特別読物「人生100年時代で著名人も実践 社会人になってからの『学び直し』」より

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