日本にも「スタグフレーション」のリスク 日本銀行だけが従来の金融政策で良いのか

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政策見直しを

 インフレ抑制のための苦肉の策として、中央銀行の中で「自国通貨を上昇させることにより輸入品であるエネルギー価格を抑制する」との発想が生まれている(2月19日付ブルームバーグ)。かつて「経済成長を促進するために通貨を押し下げている」と批判されていた中央銀行は「今や昔」だ。

 このような状況で日本銀行だけが従来の金融政策(異次元緩和とマイナス金利)を変えようとしていない。日銀は「最近の輸入物価の上昇について円安の影響は大きくない」としているが、市場関係者からは「金融政策の転換が遅れれば、日本だけが輸入インフレを押しつけられてしまう」との悲鳴が上がりつつある。

「1970年代の物価高は日銀による貨幣の供給過剰が原因だ」とする指摘がある。固定相場制から変動相場制に移行する際の通貨高を抑制するために日本銀行が「円売り」介入を続けたことで市場に大量に放出された円が広範なインフレを招いたという主張だ。

 日本は長年にわたり、デフレ下に適した政策運営を実施してきたが、スタグフレーションの懸念が急速に高まる今、マクロ経済環境の変化に応じた政策の見直しを迅速かつ適切に行うべきではないだろうか。

藤和彦
経済産業研究所コンサルティングフェロー。経歴は1960年名古屋生まれ、1984年通商産業省(現・経済産業省)入省、2003年から内閣官房に出向(内閣情報調査室内閣情報分析官)。

デイリー新潮編集部

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