みずほ銀行「新頭取」決定のウラ システム障害に続く新たな“爆弾”とは

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金融界のサグラダ・ファミリア

 昨年からシステム障害が続発しているみずほ銀行。今年1月に同行と親会社のみずほフィナンシャルグループ(FG)は業務改善計画を金融庁に提出し、形式的にはみそぎを済ませたことになっている。

 一連の責任を取り、みずほFGでは坂井辰史社長(日本興業銀行出身)が退任し、2月1日付で木原正裕氏(興銀出身)が新社長に就任した。さらに4月1日付でFGの佐藤康博会長(興銀出身)、みずほ銀行の藤原弘治頭取(第一勧業銀行出身)が退き、FG会長に今井誠司副社長(第一勧銀出身)、頭取に加藤勝彦副頭取(富士銀行出身)がそれぞれ昇格する。新三役は見事に興銀と第一勧銀、富士銀の前身3行でバランスを取ったように見えるものの、実際はどうなのか。

 みずほのシステム障害は昨年2月から断続的に発生しているが、同行で大規模なシステムトラブルが起きたのは2002年の統合直後、11年の東日本大震災直後に続き3度目となる。金融庁は昨年11月の業務改善命令で、行内の「言うべきことを言わない、言われたことだけしかしない姿勢」がシステム面、コーポレートガバナンス面で深刻な問題を引き起こしたと、異例の表現を用いて断罪した。

 金融庁が改善命令で示唆した通り、前身の日本興業銀行、第一勧業銀行、富士銀行の3行が「明確な優劣を付けずに横並びでごまかしてきた」(みずほ幹部)結果、3つの基幹システムが共存する継ぎ接ぎ体制で決済やATM(現金自動預払機)の管理を続けてきた。そのため、建設開始から250年近くが経つにもかかわらず、未だ完成していないスペイン・バルセロナの教会に喩え、みずほは“金融界のサグラダ・ファミリア”と揶揄されている。

「行内の滞った空気」を変えるのは

 しかし、みずほの無責任体質に金融庁が行政処分を下した後もガバナンス強化、システム改革が急進展するわけではなかった。年末年始、同行では昨年2月以来、9回目と10回目となるシステム障害が発生し、新聞などではちょっとした記事にもなった。あるみずほ行員はこう話す。

「みずほの幹部は、他の銀行、金融機関ではニュースにもならない程度のシステム障害だったと行員に強弁しているのですが、他のメガバンクの行員からは、金融庁の処分を受けた後でもシステム障害が止まらないのは、指摘された組織性が改善されていないからだよね、と嫌味を言われます。まったくその通りなので、返す言葉もありません」

 むろん、「行内の滞った空気」(前出の行員)を一気に変えることができるのは、2月1日にFG首脳に就任した木原新社長、そして4月に就任する今井次期会長、加藤頭取の3トップに他ならない。

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