西武、屈辱の最下位から逆襲なるか…“開幕投手”高橋光成が見せた「ショートアーム」

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制球力を重視したフォーム

 ここ最近、メジャーの世界では「ショートアーム・アクション」に取り組み、制球力をアップさせることで、好結果につなげた投手が増えている。

 二刀流・大谷翔平(エンゼルス)が昨季、オールスター前までの13試合・67イニングで35四球だったのが、オールスター後の10試合・63回1/3で9四球と激減。一昨年のメジャー最多勝・ダルビッシュ有(パドレス)も、メジャー1年目の2012年には191回1/3で89四球だったのが、この“新潮流”による改善で、昨季は166回1/3で44四球と、半減させている。

 ショートアーム、つまり「短い腕」。

 日本の野球界では「後ろが小さい」という投球モーションになる。大谷やダルビッシュのように、1メートル90超の長身投手はもちろんのこと、勢いよく腕を振ろうとすると、右投手なら右肩から右足にかけての垂直のラインを想定すると、投球の始動時には、打者側から見ると、ボールを持った右手が、その仮想ラインの右側から見えるのが普通だ。

 そのラインに隠れるくらいの程度にまで、右手を振る動きを抑えることで、トップを作るまでの距離は、必然的に短くなる。体幹や下半身に十分な力があれば、腕の遠心力を使わなくても、その中心軸からボールを持つ手の距離が短い方が、腕の動きがコントロールされる上に、体の回転で生まれる力がより乗りやすくなる。

 つまり、ショートアームは、制球力を重視したフォームではある。ただ、そのメカニズムを順に追っていけば、球速が大幅に落ちることは決してない。

「与四球数」でワースト3

 前置きが、少々長くなった。

 昨季のパ・リーグ投手の「与四球数」で、ワースト3を占めたのが「99」の今井達也、「64」の松本航、「62」の高橋光成。西武の先発ローテーションを務めた3枚が、そのまま上位3人という“屈辱のデータ”でもある。

 173回2/3を投げた高橋よりも20イニング多い193回2/3を投げたオリックスのエース・山本由伸は「40」でパの10番目。今井は158回1/3と、山本より35回1/3少ない投球回数ながら、その倍以上の四球を出しているのだ。

 最下位からの逆襲をかける2022年。この「制球難」をクリアするのは、絶対命題ともいえる。その「努力の過程」にいち早く気づいたのは、ネット裏の“007”だった。

「大谷君がやっているからかな? みんなやるよね」

 2月11日、西武・南郷キャンプの第3クール初日に視察に訪れたオリックス・渡辺正人スコアラーは、その「変化」を見逃さなかった。

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