「ミステリと言う勿れ」初回は史上最高の再生回数 「TVer」はどれくらい利用され、儲かっているのか

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今後の行方は

 さて、TVerはどこへ向かうのだろう。無料で流した番組を、さらに無料で見せるというビジネスモデルには限界がある。民放のCM収入は下がる一方だが、やはりCMに頼るTVerも収益の急増は難しい。利用率の高いYouTubeとは違う。このため各局は別の道を模索している。

 例えばTBSは「池袋ウエストゲートパーク」(2000年)や「俺の家の話」(2021年)などを手掛けてきた磯山晶プロデューサ―(54)がNetflixと組み、オリジナルドラマを全世界に配信することが決まっている。

 放送直後のドラマをNetflixで流した「日本沈没」とは違う。磯山氏のドラマは「離婚しようよ」と題したオリジナル作品で、宮藤官九郎氏(51)と大石静氏(70)が脚本を書きおろす。配信は2023年の予定だ。

 各局は長年のドラマづくりのノウハウを生かし、Netflixや自社系の有料配信用にオリジナル作品を積極的につくったほうが大きな利益につながるのではないか。1960年代、斜陽期に入った映画会社が、映画とは別にドラマをつくり、各局に販売したのと同じ理屈である。フジ系の有料配信・FODは既にオリジナルドラマの制作に熱心だ。

 有料だからと言って敬遠される時代は終わった。Netflixの利用率は総務省調べで13.5%、やはり有料配信のアマゾンプライムビデオは同29.7%に達している。

 これが10代と20代に限ると、Netflixは23.8%、アマゾンプライムビデオは36.0%に跳ね上がる。この層は30代、40代になっても有料配信を利用するはず。テレビは厳しい時代に入って久しいが、有料配信の利用者は増加の一途に違いない。

 各局系の有料配信の利用率は次の通り。日テレ系のHuluが5.9%、テレ朝系のTELASAが0.5%、TBSとテレビ東京のParaviが1.3%、フジ系のFODプレミアムが1.9%。まだ伸ばせるはずだ。

 広告収入が下げ止まらない民放の活路はオリジナル作品を流す有料配信にあると読む。制作者、技術者はいるし、芸能プロダクションや脚本家、製作会社とのパイプもある。

高堀冬彦(たかほり・ふゆひこ)
放送コラムニスト、ジャーナリスト。1990年、スポーツニッポン新聞社入社。芸能面などを取材・執筆(放送担当)。2010年退社。週刊誌契約記者を経て、2016年、毎日新聞出版社入社。「サンデー毎日」記者、編集次長を歴任し、2019年4月に退社し独立。

デイリー新潮編集部

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