ヤクルト・高津監督が語る「ノムさん」の教え 若手育成の極意と継承した「考える野球」

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「全ては勝利のため」

 それ以外に心掛けているのは「10秒で答えを出さなければいけない場面では5秒で答えを出す」こと。言うは易く行うは難しで、これはなかなか大変な作業です。ただ、二手先、三手先を読んで欠かさずに準備していると、少しずつ決断のスピードが上がってくる。早く決断すればコーチや選手からのフィードバックを得られやすい。今後も引き続き頑張っていきたい課題ですね。

 いまのチームには若手からベテランまで、国籍も異なる選手が70人余り揃っていて、スタッフを含めると100人近い組織になります。彼らを束ねる現場トップとしては、常に発言や行動、態度がブレないように努力している。一度決めた指針は勝手に変えない。変えるときはきちんと説明してから変える。そこが曖昧だと、信頼関係が崩れてしまいますから。

 チームの主役はあくまでも選手たちで、我々は黒子です。どうしたら選手が十二分に実力を発揮できるか、そこに最も心を砕いている。同時に、試合に勝ち、数字を残すことだけで判断されるのがプロの世界。若手と意見交換するのも、最適な起用法を探り続けるのも、全ては勝利のためなんです。

高津臣吾(たかつしんご)
1966年、広島県生まれ。亜細亜大学卒。90年にドラフト3位でヤクルトスワローズに入団。ストッパーに転向した93年には20セーブを挙げてチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。現役引退後の2014年にスワローズ1軍投手コーチに就任。2軍監督を経て20年から1軍監督を務める。

週刊新潮 2022年2月10日号掲載

特集「インタビュー 企業人も学べる組織論 ヤクルト『高津監督』が語り継ぐ『ノムさん』の教え」より

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