ヤクルト・高津監督が語る「ノムさん」の教え 若手育成の極意と継承した「考える野球」

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「神回」と絶賛された日本シリーズを制し、20年ぶりの日本一に輝いた東京ヤクルトスワローズ。高津臣吾監督(53)はチームを団結させ、若手の奮起を促し、「ツバメ軍団」を蘇らせた。令和の名将が、恩師「野村監督」の教え、そして、チームマネジメントの極意を明かす。

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 監督就任1年目に当たる2020年のシーズンは、チームが最下位に沈みました。変えたいこと、変えなければいけないことが山のようにあって、具体的にどこを改めたか挙げるのが難しいほど。ただ、チームの大きな目標はハッキリしていました。それは“最下位から脱出”することです。もちろん、その上でAクラス入りを目指すという意味ですが、何よりも大切なのはチームの立て直しだと考えていました。

 最下位に甘んじたチームを、試合に勝てる、優勝争いができるチームに生まれ変わらせるためにどうすべきか――。それが監督として常に意識し続けていた点ですね。

リーグ優勝を意識したのは「最後の最後」

 インタビュー取材では、「いつの時点でリーグ優勝を意識し始めたのか」と聞かれますが、それは本当に最後の最後でした。優勝争いをしていた阪神タイガースが昨季の最終戦を落とし、マジック1だったヤクルトの優勝が決まった。その瞬間でしたね、ようやく優勝の実感が湧いてきたのは。それまでは目の前の試合に全力を注ぐのが精いっぱい。難しい表現ですけど、どの試合も最終的に勝つまでは“勝てる”という確信を持てませんでした。

 もちろん、日本シリーズで対戦したオリックスバファローズは非常に強く、本当に良いチームだったので、日本一になった嬉しさもひとしおでした。ほっと胸を撫で下ろすような感慨と、歓喜の気持ちが入り交じった深い感動が押し寄せてきました。“日本一”という言葉は、選手であっても監督であっても、何歳になろうと変わらない喜びをもたらしてくれます。ただ、選手たちの涙は予想外で、正直なところ驚かされました。いま振り返れば、彼らもそれだけ苦しみ、悔しい思いを抱いてきたのだと思います。選手の悔し涙を目にする機会はありましたが、勝って涙する姿を見ることはなかったので……。

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