満を持して初のゴールデン進出 「あらびき団」がお笑い好きに長く愛される理由

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 2月12日に「『あらびき団』ゴールデンスペシャル」(TBS)が放送されることが発表され、お笑い好きの間で注目を集めている。かつて深夜でディープな笑いを追求していたこの番組が、初めてゴールデンタイムに放送されることになるからだ。

「あらびき団」はもともと2007年から2011年にレギュラー放送されていた異色のネタ番組である。当時は「爆笑レッドカーペット」「ザ・イロモネア」などの番組も人気を博しており、1~2分程度の短い時間で披露される「ショートネタ」がちょっとしたブームになっていた。「あらびき団」も形式としてはショートネタ中心の番組だったのだが、どちらかと言うと万人ウケではないマニアックな笑いを追求していた。

 スタジオにいる司会の藤井隆と東野幸治は、「あらびき団」というサーカスの団員という設定だった。そのサーカスの新人発掘オーディションとして、荒削りな芸を持つ「あらびき芸人」たちのパフォーマンスをVTRで見ていく、というつくりになっている。

 映像での紹介となるため、その場でネタをやる番組に比べるとライブ感がなくて派手さに欠けるところはある。藤井も東野も、どちらかというと視聴者の側に近い一歩引いた目線で彼らの芸を見守ることになる。学者が研究のために野生動物を観察するように、あらびき芸人という特異な生き物の生態を遠くからじっと眺める、といった感じの独特の距離のとり方をしているのだ。

「面白い・面白くない」に留まらない

 そんな目線で作られているため、この番組ではパフォーマンスを見せた芸人が「面白い・面白くない」といった一元的な価値観だけで判断されることがない。単なる芸の巧拙だけでなく、そのあらびき芸人が生き物として興味深い存在であるかどうかが重要な判定基準となる。

 だからこそ、「あらびき団」では、狭い意味での「お笑い」だけでなく、音楽を演奏したり、ダンスや曲芸をするような、多彩なジャンルのパフォーマーが次々に出てくる。しかも、ただ上手いだけの芸は感心されるだけであまり積極的には評価されず、大ざっぱだけど妙に味があったり、芸の背後にその人の人生を感じさせるようなパフォーマンスの方が注目される場合が多い。

 たとえ激しくスベることがあっても、スタジオでVTRを見守る東野幸治と藤井隆が冷たいリアクションで笑いに変えてくれる。「新婚さんいらっしゃい!」の新司会者に抜擢され、心優しいキャラで知られる藤井も、この番組では芸人としてのスイッチを入れていて、メリハリのある厳しい姿勢を崩さない。

 さらに、もともとクールな性格で有名な東野の冷徹かつ的確な一言は、パフォーマーたちを何度も地獄の淵に突き落としてきた。そんな「あらびき団」は、お笑いブームの嵐の中でドブさらいのように未完成の才能を地道に発掘して、ブームの土台を支える貴重な役割を担っていた。

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