「ドライブ・マイ・カー」は日本初のアカデミー賞作品賞なるか 三浦透子の魅力を主演作監督が語る

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 かつて、日本の名だたる映画監督もアカデミー賞作品賞に手が届いたことは一度もない。しかし今年、国内外で大きな期待が寄せられている作品がある。濱口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」である。

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 現在公開中の「ドライブ・マイ・カー」の原作は村上春樹の短編だ。俳優役を演じる西島秀俊(50)が妻を亡くし、広島で舞台演出をしながらその哀傷から再生していくという物語である。

「目下、海外の映画賞を総なめにしています」

 とは芸能記者。

「昨年のカンヌ映画祭で日本映画としては初となる脚本賞を受賞しました。今年はアメリカで快進撃を続けています。全米映画批評家協会賞で作品賞などを、アカデミー賞の前哨戦といわれるゴールデングローブ賞の非英語映画賞を日本映画では62年ぶりに獲得しました。アカデミー賞の作品賞でもノミネートされるのでは、と期待感が高まっているのです」

 ノミネート発表は2月8日。在米映画評論家の猿渡由紀氏は、

「主人公が俳優、演出家であり、『演じる』という主題が専門家や批評家の共感を呼んでいるのでしょう。アカデミー賞を選ぶアカデミー会員も、役者や監督など業界で働くプロフェッショナルなので、評価が高まることが考えられます。また、アカデミー会員は2016年に6千人だったのが、現在、約1万人に増えています。増員の多くが、アメリカ以外の外国人ということもあって、作品賞に外国映画が受賞しやすい環境になりました。2年前韓国映画『パラサイト』が受賞したのは、このことが大きく影響しています」

相手を“動かす”

 本作の中で西島と相対して重要な役どころを担うのは、西島の愛車「サーブ900」のドライバーを演じる三浦透子(とうこ)(25)。02年に「2代目なっちゃん」としてCMデビューし、最近では新海誠監督の「天気の子」の主題歌でボーカルに抜擢された。

「北海道出身の三浦さんは子役として活動した後、芸能活動と並行しながら、都内の大学で数学を専攻しました。役者としては異色の経歴です」(芸能デスク)

 三浦の印象について、彼女が主演の「月子」(17年)を監督した越川道夫氏が語る。

「初めて会った時は、高校生くらいだったと思います。その頃から“芝居をやりたい”とハングリーな印象でした。理数系なので“ゲーデルの不完全性定理とか知っている?”と聞いたら、知っていると言うので、賢い子だなと思いました」

 役者としては、

「彼女は共演者をよく観察していて、相手役を“動かす”演技ができる。憑依型と呼ばれる、演技の上手い役者はたくさんいるのですが、周りをうまく生かせる人はなかなかいません。『月子』では指示しなくとも相手役をつねったり、押したり、うまく困らせて、反応を引き出していました。自分の動きに相手はこう反応するというのを常に考えている。『ドライブ・マイ・カー』の演技も良いと聞きますし、すごい役者だと思います」(同)

 作品ともども、その“ハンドリング”が世界を席巻しているわけだ。

©2021『ドライブ・マイ・カー』製作委員会

週刊新潮 2022年2月10日号掲載

ワイド特集「そしてショーは続く」より

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