東大初の捕手でプロ入りなるか “強肩”松岡泰希君は「大学日本代表に入りたい」

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「投手の力を引き出すのもキャッチャー」

 東大野球部は約2/3が浪人経験者とのことだが、そんな中で1年春からリーグ戦にも出場。最初は相手チームのレベルの高さに戸惑ったというが、課題の打撃も、昨年春のリーグ戦では、チーム2位の打率.276をマークするなど、着実にレベルアップを果たしている。また、強肩以外にも捕手としての大きな魅力を感じたのが、投手に対するリードに話が及んだ時だった。

「データはもちろん頭に入れて活用していますけど、その使い方は投手によって変えています。相手のバッターの弱点を伝えた方がいいピッチャーもいれば、そういう情報よりも自分の持っている良さを出した方がいいピッチャーもいます。マウンドで声をかける時にも、励ますような言葉をかけた方が力の出る投手もいれば、『お前に頼んだぞ』みたいな声の方が意気に感じる投手もいる。そういうことを使い分けながら、投手の力を引き出すのもキャッチャーとしてやりがいのある部分だと思います」(同)

 捕手はスローイング、キャッチングなどの技術面はもちろんだが、それ以上に投手とのコミュニケーションが重要だと言われるが、分かりやすい具体例を示しながら話す姿には高いコミュニケーション能力を感じた。これもまた、松岡の大きな武器になる部分といえそうだ。

「注文をつけたことはほとんどない」

 現在、東大を指揮する井手峻監督は、東大史上2人目のプロ野球選手だ。中日の選手として10年、コーチや編成としても長くプロの世界に関わってきた人物である。そんな指揮官の目にも、松岡の姿は頼もしく映っているようだ。

「最初に今のチームを見た時に4人くらいキャッチャーがプレーしていたんですけど、肩の強さは飛び抜けたものがありました。他の大学にもいないレベルじゃないですかね。バッティングもだいぶ力がついてきて、強く振れるようになってきました。強く投げる、強く振れるという基本的な部分は十分、上を狙えるところまで備わってきたと思います。あと、整理整頓がしっかりしているというのがいいですね。用具の手入れもしっかりしている。プロでもいろんな選手を見ましたが、良い選手はそういう部分ができていることが多かったです。他の選手もそうですけど、自分の大学時代と比べると、みんな野球のことをよく考えてしっかり取り組んでいると思います。松岡に関しては注文をつけたことはほとんどないですね。去年、上級生に対してもかなり厳しい口調で指摘していたので、チーム内での影響力も大きい立場になるから、そういう部分は気をつけた方がいいよと言ったくらいです」(井手監督)

 井手監督の話にもあるように、東大野球部の野球に対する意識の高さは選手の進路にも表れている。今年卒業する4年生では、奥野雄介(三菱自動車倉敷オーシャンズ)と井上慶秀(三菱自動車岡崎)が社会人で、高橋佑太郎(四国アイランドリーグ高知)が独立リーグでプレーを続けるほか、学生コーチの斎藤周はソフトバンクにアナリストとして入団している。こういった先輩の存在も松岡にとってプラスになったそうだ。

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