都の新型コロナ「無料PCR」に不満を募らせる検査事業者「承認まで時間がかかり過ぎ」

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首相「検査も抜本的に拡充したい」

 全国の新型コロナウイルス新規感染者が1日あたり8万人を超え、なお感染拡大は収まる気配が見えていない。政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は昨年11月、第6波に備えて病床や宿泊療養施設の確保、医療体制の強化といった対応策を発表した。中でも、「検査も抜本的に拡充したい」と岸田文雄首相が力を入れたのが、無症状者でも予約することなく、無料で受けられるPCR検査や抗原検査の導入だった。

 これを受け、昨年末ごろから各自治体は、無症状の希望者にも無料でPCR検査や抗原検査を受けることのできる会場を設置し始めた。東京都でも12月23日から〈ワクチン・検査パッケージ制度又は対象者全員検査及び飲食、イベント、旅行・帰省等の活動に際して、陰性の検査結果を確認する必要がある無症状の方〉(東京都福祉保健局ホームページ)、12月25日から〈発熱などの症状のない無症状の都民の方〉(同)を対象とし、現在は334ヵ所(1月31日時点)で無料検査を実施しているという。

 だが、〈「オミクロン株」感染急拡大で自治体による無料のPCR検査や抗原検査を希望する人が殺到している〉(1月25日付産経新聞)、〈自治体の無料検査には感染の有無を調べたい人たちが殺到し、予約が取りづらい状況だ〉(1月27日付毎日新聞)と報じられている。

まったく返事がない

 濃厚接触者ではないものの、職場内で感染者が出たため無料の検査を受けようと思った都民もこう嘆く。

「自宅近くの薬局でも検査を受けられるというので行ってみると、混雑緩和のため先着順で整理券を配っていると言われました。しかし1人につき1枚しか配布されないので、家族4人が受けようと思ったら全員で出向かないといけません。さらに、検査キットが不足しているそうで、1日10人までしか受けることはできないそうです」

 こうした状況に対し、上記の産経新聞は都の担当者の声として、「会場を増やしたり、検査数も可能な限り上積みしたい」と紹介している。しかし、これに疑問を呈しているのが、都が募集する検査事業に申請を行ったA社である。同社はすでに厚生労働省の認可を得て、現在、1日700~800人のPCR検査を行っており、スポーツ団体や公共団体などのPCR検査を請け負う実績もある。都から要請があれば、1日400人程度の検査が可能だという。

「感染症対策本部がPCR検査などを完全無料化するという方針を打ち出した後、神奈川県などは早くから事業者を募集していたので、東京都の案内を見逃さないようホームページなどもこまめにチェックしていました。結局、12月17日から募集が始まり、申請書類を用意して24日にはメールで東京都PCR等検査無料化事業事務局に送付しました。ところが、受理したのかどうかも含め、しばらく返事がありませんでした。1月4日にこちらから連絡をすると、『申請の申し込みが殺到しているので、承認には1週間前後かかります』と言われました」(A社の広報担当者)

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