オミクロン株を撒き散らした沖縄「米兵」の本音 「おとなしい日本人の言うことなんか聞きません」

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“風邪みたいなもの”という認識

 オミクロン株の感染拡大に歯止めがかからないことについて、“当事者”たちはどう感じているのか。沖縄に駐留する米兵に聞くと、こんな答えが返ってきた。

「我々は日本とアメリカをしょっちゅう行き来していて、日本国内に入るときには2週間の隔離も空港検疫もない。日本で感染者数が落ち着いていた頃、アメリカではオミクロンの感染者が激増していたので、在日米軍基地内で多数の感染者が出るのも時間の問題だと思っていましたね。正直なところ、日本にも影響は出るだろうなという予感はありました。

 来日すると基地周辺の店に遊びに行く軍人は多い。日本ではストレスを発散するために飲むから、そりゃ大声にもなるし、はしゃぎたくもなる。店員からマスクをしていないことを注意されることもありますが、米軍相手に商売をしている店だし、少しくらい無理を言っても大丈夫と思っているので、無視していますね。

 2003年から始まったイラク戦争がきっかけで米軍には入隊希望者も少なくなり、犯罪歴があっても免責して入隊させるようになったんです。もちろん常識のある軍人も多いんですが、刑務所上がりのこうした軍人は素行が悪く、日本に来る海兵隊の中にもそういうヤツがいる。彼らの認識ではコロナはデルタだろうとオミクロンだろうと、“風邪みたいなもの”だし、おとなしい日本人の言うことなんか聞きませんね。

 一応、第5波のときには上官から不要不急の用事がなければ外出するなと言われていましたが、用事があるとウソをついたり、隠れてこそこそと繁華街に出かけたりする人もいましたね」

 ただ日米両政府が9日、在日米軍関係者に対し、10日からの14日間、施設・区域外では「必要不可欠な活動のみ」に制限することを発表し、日本政府がすべての在日米軍関係者には自宅以外でのマスク着用の義務化や、出入国時の検査、入国後14日間の行動制限について厳格に維持・実施するよう求めると、「上官から外出制限やマスク着用について順守するようかなりきつく言われて、さすがに勝手な行動はできなくなった」(先の米兵)という。

来店1回で数万円~数十万円

 米軍関係者の身勝手な行動がコロナの感染拡大を招いたと憤る基地周辺の地元住民は多い。だがその一方、彼らを擁護する声もある。沖縄と同じくまん延防止の対象となった山口の米軍岩国基地の周辺で飲食業を営む男性は、こうため息をつく。

「今のオミクロン株の感染拡大が“米軍発”であることは否定しません。それは地元の人間たちも分かっていますが、米軍批判の声が高まっていることに複雑な感情を持ってしまいます。自分の店もそうですが、基地周辺の店は大半が米軍のおかげで成り立っていますからね。沖縄でも同じような気持ちを持っている飲食店経営者はいるんじゃないでしょうか。

 私のお店に来るお客様も半分以上が米軍関係者ですが、彼らは金払いがとてもいい。大いに飲んで食べて1回で数万円~数十万円を落とすような派手なお金の使い方をしてくれるんです。コロナで外国人ばかりではなく日本人の観光客も激減しているなか、軍の関係者はコンスタントに来店してくれるから、本当にありがたい存在でした。だからこそ怒りの感情はわくどころか、彼らが外出自粛を命じられたと聞いて正直がっくりしています」

 前出の沖縄の米兵は、「オミクロン株に感染した患者で、沖縄の医療が逼迫していると上官に叱られました。医療関係者を苦しめる原因になってしまったことには反省しかありません」と申し訳なさそうに話す。郷に入っては郷に従えという言葉は、彼らに通じなかったということか。

真樹哲也
1985年、北関東生まれ。裏社会に入り込んで取材をし、アンダーグラウンド記事を書くことを得意としている。近著『ルポ外国人マフィア 勃興する新たな犯罪集団』(彩図社)が好評発売中。

デイリー新潮編集部

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