相談料は1時間10万円! 弁護士ランキング1位の税務専門家はどんな人?

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 木枯しが吹く頃になると、企業法務を担当するエリート弁護士はソワソワし始めるのだという。もちろん、冬休みが近いからではない。日経新聞が、〈企業が選ぶ弁護士ランキング〉、〈企業と弁護士が選ぶ総合ランキング〉を発表するからだ。

 この企画、2005年にスタートし、17回目を迎える。上場会社など520社と弁護士150人にアンケートを実施し、上位にランクされると弁護士本人はもちろん所属する法律事務所にとっても最高の“宣伝”になる。

 そのランキングで21年に企業が選ぶ弁護士(税務分野)のトップになったのが、「長島・大野・常松法律事務所」の平川(へがわ)雄士弁護士だ。平川弁護士は総合ランキングでも1位を獲得しており「2冠」に輝いたことになる。

 どんな凄腕なのか。

「平川弁護士は東大法学部卒でハーバード・ロースクールにも留学しています。約500人の弁護士を擁している大手ローファームの長島・大野・常松法律事務所でも“パートナー”という、経営を担う立場にいます」(企業法務に詳しい弁護士)

相談料は「1時間10万円」

 税務で争うのだから、相手はもちろん国である。

「一般的に民間企業は国税庁と争うのを避けたがるものです。国税庁とぎくしゃくすると後々面倒だし、税務訴訟は行政裁判のなかでも難易度が高い。民間側の勝率は5%に届きません。それでも納得いかない企業が税務の得意な弁護士に訴訟を依頼する。平川さんは大手音楽会社や不動産会社の税務訴訟を手掛け、13年(5位)と16年(7位)にもランキング入りしています」(同)

 その平川弁護士がトップに選ばれたワケは、ある裁判で昨年3月11日、勝訴をもぎとったことだ。

「この裁判はバスの運営やホテル経営で知られる国際興業(現国際興業管理)が、米国の子会社から受け取った配当に対する課税を巡り、国を訴えたものです。国税庁の“更正処分”に従うと所得は約80億円増え、国際興業側としては受け入れられなかった。裁判は最高裁まで争われ、最終的に処分を無効とする判決が確定した。これが評価されたのです」(同)

 もちろん、トップ弁護士だけに報酬も高い。ちなみに平川弁護士が所属する法律事務所は相談するだけでも「1時間10万円」だという。庶民には縁遠いか。

週刊新潮 2022年1月13日号掲載

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