フリーアナ・町亞聖が語る「ヤングケアラー」問題の本質 高校時代に母親を介護した経験が

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「ソーシャルワーカーさんがいなければ…」

 あと、助けてくれた大人といえば、母が入院していた病院のソーシャルワーカーさんもそうです。母の入院費を支払う際、わざわざ声をかけてくれて、「高額療養費制度や障害者の医療費の補助が受けられるかもしれないから役所の窓口に行ってみなさい」と教えてくれたのです。私は高校3年生ですから、当然、そんな制度があることは知りませんでした。ソーシャルワーカーさんのアドバイスがなければ、請求されるままに高額な医療費を払い続け、家計は破綻していたと思います。

 実は我が家は母の介護よりも酒飲みの父親への対応の方が大変でした。大学に進んでからも何か気に食わないことがあると「母親代わりのお前が悪い。出ていけ」と私を責める父に家を追い出されたことも度々ありました。ただ反面教師の父の存在も諦めない大きな原動力になったことは間違いありません。諦めずに頑張って良かったのは夢だったアナウンサーになれたことと同時に父のことを許すことができたことです。父のせいで母の介護の犠牲になったと思わずに済んだのです。

 大事なことはヤングケアラー自身も自分の人生も大切にすること。周囲の大人に助けを求めて下さい。必ず見ていてくれる人がいるはず。そして、納得して自分の人生を選択してほしいと思います。

週刊新潮 2022年1月13日号掲載

ワイド特集「光と影の『人間ドラマ』」より

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