重症化率、経口薬の確保数、病床の余裕は? オミクロン株の疑問を専門家が徹底解説
沖縄でなにが起きているか
感染者が急増した沖縄の現状も、聞いておいたほうがよさそうだ。沖縄県の北部地区医師会病院の田里(たさと)大輔医師(呼吸器・感染症科)が説明する。
「隔離するための宿泊施設を、増やす必要があると思います。感染者の増え方が早いと、そういうところにしわ寄せが来ます。沖縄ではホテルが使えず自宅療養になり、家族にうつさないために車中泊をするようなケースも出ています。感染者が増えすぎて保健所が追い切れず、検査のキャパシティも超え、検査予約も4、5日待ち。クリニックも対応できず、“症状が軽ければ自宅で様子を見てください”と言うしかない。検査も、受診や診断も、ホテル療養も難しくなっています。見かけ上、患者が減ってきているのは、検査ができていないから。今後、全国的に同じことが起こりうるので、療養施設の確保、検査体制の拡充を急いだほうがいいと思います」
そうならないためにも、不織布マスクの正しい着用など、個人の対策が重要だということだろう。
経口薬に期待できるのか
Q.メルク社が開発した経口薬「モルヌピラビル」はすぐに飲めるのか?
角田副会長は、
「第5波と違うのは、経口薬があること。国は昨年末までに、全国に20万回分のモルヌピラビルを配布しています。都への割り当ては約1割で、60代以上の重症者や、基礎疾患のある軽症者から中等症の方に処方できるようになっています」
さらに確保数でいえば、
「政府は60万人分を確保しているといいます。約6千の機関で処方のための登録が済んでいるようで、今後、医師の処方箋があれば、入手は可能になってきます」(寺嶋教授)
だが、矢野医師は「過剰な期待を寄せないほうがいい」と、こう説く。
「高齢者や基礎疾患がある人、重症化リスクの高い患者に限定して処方されると考えるべきで、効果も入院や死亡リスクを30%程度低下させるものにすぎません。また、副作用として胎児への悪影響の可能性が指摘されるので、妊婦はもちろん、若い女性全般への処方も控えられるでしょう」
松井准教授が加える。
「ファイザーの経口薬パクスロビドは、重症化リスクを89%下げてくれて、副作用があるとも聞かないので期待できます。日本でも2月か3月には特例承認されると思います」
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