伊藤健太郎が初めて語る主演映画「冬薔薇」 監督からの“聞き取り”で丸裸にされた自分

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大先輩からの一言

 監督の「聞き取り」は、人気絶頂だった伊藤が奈落の底に落ちた、問題の「事故」にも及んだ。

「監督からは、事故や自分の素行のことについて “(SNS上に)辛辣なコメントもあるけどどう思う?”とも聞かれ、自分が“しょうがないと思う”と答えると、“そっかそっか”と。実際、自分はそういうコメントも見るようにしています。もちろんキツイなと思うこともありますけど、自分のせいでもっとキツイ思いをした方がたくさんいます。だから有り難い言葉として、ちゃんと受け止めるようにしています」

 阪本監督はメディアに対し次のようにコメントしている。「(伊藤の)実像は心にねじれを抱え、戸惑いのまま生きている青年」なのではないか、と。

「自分としてはどう心がねじれているのかよく分からないのですが、自分のことをよく知っている人たちに聞くと、“監督すごいね”と皆言うんですよ。で、皆にそう言われてみると、腑に落ちる部分がどこかにあったりもします。撮影中の印象も踏まえたコメントだと思うのですが、監督が自分の深いところまで見てくれていたことが本当に嬉しかったです」

 主人公が「ろくでなし」だという設定については、

「作品の中の“淳”と実際の自分にはリンクする部分もありますね。例えば思春期真っただ中の時、親に対して“こういうこと言ったことあるな”とか“怒ったことあるな”とか。自分も親も不器用なところがあるので、ひねくれた言い方をしちゃって結構ぶつかることもあったんですよね。そういうシーンを撮っている時にすごく不思議な感じになりました。“淳”に対して自分が近づいていくだけではなく、“淳”が自分に近づいてくるような……。すごく不思議な時間でした。自分の父親に“今度の映画に俺とオヤジのあの時の会話に似ているセリフがあるんだ”と話したりもしました」

 撮影は昨年11月から、海辺の地方都市で約1ヶ月間にわたって行われたという。

「スタッフさんもキャストも同じホテルで、泊まり込みで撮影しました。合宿みたいに1ヶ月間ずっとそこにいたので、その間は“淳”という役をあまり抜かずに撮影に臨んでいました。今まではその日の撮影が終わる度にリセットするようにしていたんですが、今回は自分の中に常に70%くらい“淳”がいたという感じですね」

 公式発表はまだだが、この映画には多くの「大物俳優」が共演者として名を連ねているという。

「撮影中、ある大先輩と食事をご一緒する機会があり、その時、“お前は良い役者だ”と言ってもらえたのはすごくうれしかったです。自分と同じ画面に映っていただけるというだけでも有り難いのに、皆さんにとても温かく接していただきました。こんな自分でも、俳優・伊藤健太郎として受け入れてくださるんだって、感謝しかありません」

 約1年のブランクを経て再びカメラの前に立ったわけだが、

「大先輩と共演することへの“覚悟”はめちゃくちゃ持っていました。相当な覚悟がないと撮影現場で生きていけないと思ったので、緊張する余裕もないほど集中していましたね。24年間生きてきて、10年間この業界に携わらせてもらってきた全てをそこにかけたというか置いてきたというか。もうやれることは何もないくらいにやり切った感じがあります。今は、事故の被害者の方やご迷惑をおかけした方に償っていくためにも、日々頑張っていきたいと思っています」

週刊新潮 2020年12月30日・2021年1月6日号掲載

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