「開かれた皇室」は間違いだったのか “私”重視を生んだ自由教育と失われた神秘性を検証

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小室さんの“道徳的資質”

“自主性”を重んじる家風と、皇室に受け継がれる「無私の精神」との齟齬は、3年前にも見受けられた。2019年3月、ICU卒業にあたり眞子さんの結婚について佳子さまが“結婚においては当人の気持ちが重要”“姉の一個人としての希望がかなう形になってほしい”と文書回答なさり、物議を醸したのは記憶に新しい。海外の王室に詳しい関東学院大学の君塚直隆教授が言う。

「他国の王室に比べ、皇室の公務が少ないことも問題だと思います。例えば、イギリスの王族がトップを務めるなどして携わっている団体は約3千あるのに対し、日本は約80団体にとどまります。イギリスの王族は一人で数百団体を受け持ちながら、名誉職ではなく団体のトップとしての実務をこなしているのです」

 一方、皇室においては、

「結婚前の眞子さんは『日本テニス協会』『日本工芸会』の総裁職を務めていましたが、やはり少ないと言わざるを得ません。“公”という感覚は、教育と経験によって培われるもので、自由な時間が多く、ご公務の機会も少なかった眞子さんにその意識が十分に育ったとは思えません。結婚して出ていくから皇族ではない、との理屈で済まされるものではなく、おのずと元皇族としての振る舞いが求められて然るべきです。秋篠宮家の中で、こうした“公”としての意識を養う教育がなされてこなかったからこそ、大多数の国民による反対の声も聞き入れず、眞子さんは小室さんとの結婚を進められたのだと思います」

 国民と誠実に向き合い、疑惑に対して真摯に説明しようとしなかった小室さんには“道徳的資質”が欠けており、これが批判の声を強めたと君塚教授は指摘するのだが、秋篠宮家の事情を知る関係者が明かすには、

「17年5月に小室さんの存在が報じられる前から、秋篠宮殿下は『眞子が選んだ人だから』と、諸手を挙げて交際に賛成なさっていました。小室さんの経済力を危惧する声が上がっても、殿下は『パラリーガルでも構わない。二人で収入に見合った暮らしをしていけばいい』と仰り、まったく意に介されなかったのです。その年のお誕生日会見でも『非常に真面目な人だというのが第一印象』と述べておられたくらいですから、現在のお気持ちは察するに余りあります」

 秋篠宮さまご自身も、ご結婚に際してはイレギュラーな形でご意思を貫かれた経緯があり、あるいは眞子さんの姿にご自身の過去を投影される場面もあったのかもしれない。が、その結果、皇室の歴史にとって決して喜ばしくない記録を残してしまった点は否めない。

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