「暗黙のうちにルールが決まっていて、皆が従っている」って気持ち悪い――『ワンオペJOKER』宮川サトシがハライチ岩井の漫画を絶賛するワケ

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《岩井勇気×宮川サトシ対談 その2》

 最新エッセイ集『どうやら僕の日常生活はまちがっている』が6万部を超えるヒットとなった他にも、ゲームの原作・プロデュース、漫画の原作など多彩な活躍をみせる、お笑いコンビ・ハライチの岩井勇気さん。岩井さんたっての希望により、漫画家で『ワンオペJOKER』の原作も手がける宮川サトシさんとの初対談が実現した。「あるある」のこと、互いの作品の意外な共通点のこと、漫画原作者としての悩みなど大いに語り合った。(全2回の2回目。前編を読む。)

究極の「あるある」は「ないない」!?

宮川サトシ(以下、宮川):「あるある」とは何か?を追究した話の続きですが、数年前、「共感百景」という、あるテーマについての「あるある」を短い詩に詠むイベントに出演したことがありました。僕はそこで「最優秀共感詩」という一番良い賞をもらったのですが、全然納得できなかったんです。

岩井勇気(以下、岩井):というのは?

宮川:僕が賞をもらったのは、テーマが「財布」で、〈「財布見せて」と言って そのまま懐に入れる冗談やるやつ とても幸せそう〉という詩。でも、僕個人が一番良いと思ったのは、「ニュース」がテーマで、トリプルファイヤーというバンドの吉田靖直さんが詠んだ、〈号外配ってる奴 誇らしげじゃなかったか〉という詩でした。

岩井:宮川さんの詩も面白いと思いますが、ご本人的には納得していなかったんですね。

宮川:そうなんです。でもなぜ吉田さんの詩に惹かれたのか、その場ではわかりませんでした。帰宅後、自分の優勝に納得できなかったことや吉田さんの詩の方が面白いと思ったことなどを妻に伝えたら、妻が吉田さんの詩に「ああ、確かに。わかる!」と食いついたときに合点がいきました。というのは、イベント本番の前に楽屋で、ある芸人さんが言っていた「究極のあるあるは、“ないない”である」という言葉を思い出したからなんです。妻も僕も地方出身なので、号外を配っているところに出くわしたことはない。にもかかわらず、吉田さんの詩に「わかる!」と二人そろって共感したわけだから、本当はそんな経験をしていないのに吉田さんは僕たちの頭の中をコントロールして、「もしかしたらそうかもしれない」と思い込ませたわけですよね。つまりそれって、その芸人さんがおっしゃっていた「究極のあるあるは“ないない”」だった――これが僕の結論です。

岩井:追究しましたねぇ~。というか、宮川さんのも吉田さんのもどっちも面白いから、あとは好みの問題ではないかと。宮川さんは吉田さん的な発想が好きだった、というのが僕の結論です(笑)。

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