池畑慎之介(ピーター)が語る「一人で生きる」ための秘術 「知り合い」の断捨離とご近所付き合い

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人生初の「スシロー」

 自分の身体とともに気に掛けているのはご近所付き合いです。何かあった時のために鍵を預けておける関係を、ご近所さんと築けたらいいなと。以前に住んでいた家では、お向かいの若いご夫婦一家と、洗車の時なんかに顔を合わせるようになって親しくなり、一緒に焼肉を食べに行ったりする仲になったんです。ご夫婦の小さいお子さんの希望で「スシロー」にも。私、そういうところに行ったことがなかったから、とっても新鮮でした。

 ご近所さんとそうした関係を持てると、「そういえば最近、池畑さんを全然見掛けないね」とか、異変を感じて様子を見に来てくれるかもしれないじゃないですか。おひとりさまにとっては、そういった回覧板的、連絡網的なご近所関係というか、安全弁みたいなものは必要な気がするんです。孤独死しても、全く気付かれないということがないように。

 でも一方で、孤独死っていうけど、結局、人間は死んだらみんな同じ。ひとりで死ぬことを必要以上に恐れる必要はないと思うんです。誰もが、死んだらただのタンパク質の塊(かたまり)に戻るだけですからね。

パートナー、家族がいても「おひとりさま時間」は大切

 こうしてひとりでの生活を謳歌している私ですが、だからといって、おひとりさまのコツやノウハウを誰かに伝授しようとか、押し付けようとは思いません。私みたいに自分でおひとりさまを選択した人もいれば、死別や離婚でおひとりさまになる人もいる。どんなことでも、人をひとくくりにしてほしくない。それは、「化粧をしている男」って、ひとくくりにされてきた私が声を大にして言いたいことです。おひとりさまの楽しみ方だって、ひとりずつ個性があると思うんです。その上でひとつだけ……。

 パートナーや家族がいておひとりさまではない人であっても、「おひとりさま時間」は持ったほうがいいかもしれません。例えば1日24時間のうち2時間だけは、夫にも妻にも、誰にも絶対に何をしていたかを言わない「秘密の時間」を作る。些細なことでいいんです。ひとりで映画を観るとか、寄り道していつもと違うルートで帰るとか。それって、誰にとっても素敵な時間になるはずです。

「おひとりさま」になる前から、「ひとり上手」にはなれると思うんですよね。

池畑慎之介(ピーター)(いけはたしんのすけ)
俳優・歌手。 1952年生まれ、69歳。後に人間国宝となる上方舞吉村流家元の家に生まれる。「ゴーゴーボーイ」を経て、69年に「夜と朝のあいだに」で歌手デビューし、レコード大賞最優秀新人賞を獲得した。テレビのバラエティ番組などでも活躍。

週刊新潮 2021年12月30日・2022年1月6日号掲載

特集「『離婚』『生涯独身』『死別』…1億総『おひとりさま』時代 先達に学ぶ『知恵』と『現実』」より

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