誤解だらけの「誤嚥性肺炎」の予防法 嚥下機能を高める食べ物とは?

ドクター新潮 医療 肺炎

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 2021年にも、作曲家の新井満、マンガ家の白土三平など著名人をはじめ、多くの命を奪った「誤嚥性肺炎」。新たな「国民病」とどう対峙すべきか。「喉を鍛える」に留まらないその「完全防御術」を、呼吸器内科の専門医・寺本信嗣教授が解説する。

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〈ひと昔前の、日本人の死因ワースト3といえば、1位はがん、2位は心疾患、3位は脳血管疾患。ここに「肺炎」が割って入ったのは10年前のこと。

 中でも注目されるのが「誤嚥性肺炎」だ。高齢者の肺炎のうち、これが実に7割以上を占めている。「がん予防」や「脳卒中対策」に力を注ぐのであれば、それら同様、この病への備えも強く意識しなければならないのは当然だ。〉

 従来、誤嚥性肺炎対策といえば、嚥下(えんげ)リハビリテーションが最重視されてきましたが……。

〈と述べるのは、東京医科大学八王子医療センター・呼吸器内科の寺本信嗣教授。老年呼吸器病学の第一線で活躍してきたスペシャリストである。

 寺本教授が述べるように、この肺炎への対策法としては、従来、「喉を鍛える」ことが強調されてきた。最近の雑誌の記事を拾ってみても、

〈キケンな肺炎防ぐ30秒のどトレ〉

〈飲みこむ力を鍛える“ごっくん”筋トレ〉

〈肺炎を一掃! 嚥下力アップ運動〉

 といった見出しが並ぶ。

 しかし、寺本教授は指摘するのだ。〉

 もちろんそうした運動も大切ですが、高齢者にとって「誤嚥」は不可避に起こりうること。これを防げといっても限界があります。重要なのは、誤嚥の予防をしつつ、万一それが起きても肺炎に結びつかないようにすること。そのためには、口腔ケアや徹底した細菌、ウイルス対策も大いに必要なのです。

〈これまでの「常識」を覆す予防法である。

 それについては後に伺うとして、そもそも誤嚥性肺炎とはどのような病なのか。おさらいしてもらおう。〉

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