ビートたけし役で絶賛される「柳楽優弥」 映画業界が次に注目していることは?

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 昨年12月9日からNetflixで配信されている映画「浅草キッド」(監督・劇団ひとり)。若き日のビートたけしと師匠の深見千三郎を描いた作品だが、柳楽優弥(31)演じるたけしがソックリと高評価だ。その演技は“憑依型”と呼ばれる。さすがカンヌで史上最年少の最優秀男優賞を取っただけのことはある。だが、ここに至るまでには挫折もあった。

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 柳楽がたけしを演じるに当たってどんなことをしたか、監督の劇団ひとり、深水を演じた大泉洋と共に、読売新聞(21年12月8日付)のインタビューに答えている。

柳楽:(本人に)見られるのがこわい。だから本人やたけし軍団の人がどういうふうに見るんだろうっていうのがプレッシャー。つまみ枝豆さん、たけし軍団の方の前でツービートの漫才をするのは本当にドキドキしました。でも「すごい似てるね」って高評価だったので、自信につながりました。

大泉:僕も出来上がった映像を見てびっくりした。めちゃくちゃ似てる。

柳楽:難しいことだらけでした。みんなに愛されている方だから、ファンに「タケシ役よかったよ」って言ってもらいたいし。タップダンスやモノマネ、ツービートの漫才の練習をしました。準備、撮影含めて半年以上かかっています。動きや話し方は松村邦洋さんや監督に教えてもらったり、昔の漫才や記者会見を見たりして。

ひとり:ははは。「フライデー襲撃事件」の後の記者会見ばっかり見ていたよね。あれが一番参考になるって。

柳楽:目の動きとか顔を正面から映しているのでとらえやすかった。

 役作りのためにそんなことまでやるわけだ。民放プロデューサーは言う。

史上最年少の男優賞

「彼が主演した冬ドラマ『二月の勝者―絶対合格の教室―』(日本テレビ)の現場でも、そのストイックさは徹底されていたそうです。とにかく、役になりきる憑依型として有名です。最近はあまりキャラを作らない若手俳優が多いのですが、キャラを作り込みつつもやり過ぎることがない稀有な俳優と言っていい。ですから同世代の俳優も一目置いています。どこか危ない匂いのする役者ですから」

 やはり、あの眼力は独特のものがある。

「デビュー作の映画『誰も知らない』のオーディションでは、当時12歳の彼は演技の“え”の字も知らなかったわけですが、是枝裕和監督は眼力だけで主役に決めたと言っていますからね」

 04年5月、その演技がカンヌ国際映画祭で認められ、史上最年少(当時14歳)かつ日本人初の最優秀男優賞受賞者として、クエンティン・タランティーノ監督に「ヤギラ・ユーヤ」と呼ばれたのだ。

「日本では文字通り“誰も知らない”男の子が、最優秀男優賞を獲ったというので大いに注目されました。8月には文化関係者文部科学大臣表彰も授与されました。しかし『誰も知らない』は、母に置き去りにされた4人の子供たちを描いた作品で、演技経験のない子供たちがオーディションで選ばれた。是枝監督は、彼らがカメラを意識しないようにすることから撮影を始めたといいます。セリフは口伝えで教えるという独特な撮り方でした。そんな作品で認められてしまったために、以後、彼は撮影で苦しむことになったんです」

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