「地面師の女」検事調書が暗示する「積水ハウス」の罪と罰 「怪しい契約」が結ばれるまで

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干支を訂正

 それからほぼ1カ月後に海喜舘の「内覧」が実施されたが、羽毛田はボロを出さぬよう体調不良を理由に欠席している。この他いくつも不可解な点が浮上したにもかかわらず、積水ハウスは取引に邁進したのだ。

〈私は海老澤さんになりすまし、書類に海老澤さんの名前を書いたり海老澤さんの印鑑を押しました。(略)書類には、干支に○を付けるところがありますが、私は「酉」に○を付けた後、司法書士に誤りを指摘されて、「申」に訂正しました〉

 それでも「地面師の女」の化けの皮が剥がれることはなく、本契約も締結。土地の代金も預金小切手で支払われた。積水ハウスが詐欺を半ば承知で怪しい契約に突き進んだと疑われても仕方あるまい。

 結局、まんまと計55億円もの大金が騙し取られ、地面師グループ17人が逮捕された。だが、預金小切手は複雑な経路を辿って換金されたと見られ、捜査当局は未だその行方の全容を掴み切れていない。

「週刊新潮」2019年6月27日号「MONEY」欄の有料版では、供述調書の内容を詳報する。

週刊新潮 2019年6月27日号掲載

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