楽天「オコエ瑠偉」はセ・リーグなら…西川獲得ではじき出される選手名

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一軍でのホームランはわずかに1本

 西川とはタイプは違うものの、環境を変えることでの才能開花が期待できる選手としては、岩見雅紀とオコエ瑠偉だ。岩見は、慶応大で東京六大学史上歴代3位となるリーグ戦通算21本塁打を放ち、17年のドラフト2位で楽天に入団。しかし、1年目にはデビューから24打数連続ノーヒットを記録し、これまでの4年間で一軍でのホームランはわずかに1本と苦しんでいる。

 一方のオコエは、15年のドラフト1位で入団し、2年目には39安打、3本塁打と才能開花を予感させたが、その後は打撃不振で出場機会が減少。20年オフには石井GM兼監督から“最後通告”ともいえる厳しい指摘を受け、昨年は2年ぶりに一軍でヒットを放つも、レギュラー獲得への道のりは険しい状況だ。

 ただし、岩見は二軍でチームトップタイとなる8本塁打を放つなど、日本人離れしたパワーは魅力で、オコエも守備の痛いミスはあったものの、後半戦には、打撃と走塁で片鱗を見せている。このまま、楽天で“塩漬け”にしておくのは惜しいと感じている他球団の関係者も少なくないだろう。

“2年目のジンクス”の不安

 それでは、彼らを狙う側の球団としては、どこが最適と言えるのだろうか。セ・リーグで、まず考えられるのがヤクルトだ。センターは昨年ブレイクした塩見泰隆がいるものの、レフトは今年40歳となる大ベテランの青木宣親がレギュラーであり、ライトのサンタナは、攻守ともに安定感に欠けている。また、次のレギュラー候補として期待されていた中山翔太と浜田太貴が伸び悩んでおり、彼らに刺激を与えるためにも、力のある外野手を獲得したいところだ。

 もう1球団候補として挙げたいのが阪神だ。昨年最も多くレフトを守ったサンズが退団。同じく外野手のロハス・ジュニアは残留となったものの、昨年の成績は打率.217、21打点、8本塁打で、レギュラーとして心許ない状況だ。さらに、昨年24本塁打を記録した佐藤輝明も“2年目のジンクス”の不安が残る。そう考えると、万全な外野手は近本光司だけで、バックアップを含めても1人は力のある選手が欲しい状況だ。高校時代に夏の甲子園で大活躍したオコエを獲得するようなことになれば、大きな話題となることは間違いない。

 今オフはFAで移籍した選手が又吉克樹(中日→ソフトバンク)のみで、トレードを検討する球団も少なくない。今後、楽天と他球団がどう動くのか、引き続き注目したい。

西尾典文(にしお・のりふみ)
野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

デイリー新潮編集部

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