NHK「受信料」値下げ法案 余剰金「1480億」の活用義務付けでも「痛くもかゆくもない」理由

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 NHK受信料の値下げ法案がようやく動き出す。今年1月、総務省が国会に提出する放送法改正案は、NHKが積み立ててきたおよそ1500億円もの剰余金を、受信料値下げに充てることを義務づける法案だ。果たしてNHKは変わるのか。

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 そもそも放送法改正案は、21年2月に提出されたものだ。ところが、菅義偉前首相の長男らによる総務官僚接待問題が発覚したため、改正案は塩漬けにされた挙げ句、廃案となってしまった。今回は、そこに放送事業者に対する外資規制の監視強化などを新たに盛り込んだ上で、再提出するというのだ。

 前回と同じく、国民が最も気になるのは受信料の値下げだろう。

 21年6月にNHKが発表した「2020年度決算概要」を見ると、事業収入7121億円のうち受信料収入は6895億円で、実に96%を占めている。それでも昨年度は、コロナ禍で全国的に訪問活動を停止したことなどにより、受信料収入が65億円減ったという。もっとも、訪問活動をやめたことで、その経費は62億円浮いたとある。65億円集めるために62億円も使ってどうするのか、という疑問が浮かぶ。NHKには無駄が多いのだ。

 その最たるものが年々膨らみ続ける剰余金だ。NHKは“財政安定のための繰越金”と言っているが、平たく言えば内部留保である。これ以上ないほど安定した収入があるというのに、20年度の繰越剰余金は1481億円で、19年度の1213億円よりも268億円も増えている。それもこれも、受信料の支払い者が8割にも達したおかげだ。

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