NHK「受信料」値下げ法案 余剰金「1480億」の活用義務付けでも「痛くもかゆくもない」理由

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痛くもかゆくもない

 NHKにとっては耳の痛い指摘に違いない。放送業界に詳しい上智大学文学部新聞学科の音好宏教授に聞いてみた。

「NHKは剰余金を視聴者還元の原資にし、さらに経営のスリム化として、事業費を圧縮することで受信料を値下げすると言っています。しかし正直言って、NHKの現場は、製作費を減らされたところで痛くもかゆくもないと思います」

 どういうことなのか。

「NHKは経営計画で、経営のスリム化のために2Kの衛星波(BS1、BSプレミアム)のうち、1波を削減すると発表しています。現在、NHKが放送している番組には、民間の制作会社が作っている番組が多くあります。特にBSは、外部制作会社の番組比率が非常に高いんです」

 NHKのホームページでは「制作会社のみなさまから自由な発想による企画」を堂々と募集しているほどだ。地上波でも、「チコちゃんに叱られる!」(NHK総合)はフジテレビ系の制作会社などが制作協力として入っているが、BS波ではそれ以上に民間制作の番組が多いという。

「NHKの番組を担当している制作会社の中には、すでに製作費削減の打診をされている会社もあると聞きます。受信料の集金だって、NHKの職員が行っているわけではなく委託ですからね。つまり予算が減らされても、そのしわ寄せはNHKではなくNHKに出入りしている人たち、下請けに向かう危険があるわけです」

 つまり、今のNHKでは民業圧迫に繋がりかねないというのである。視聴者に還元するために、民間の制作会社への支払いが削られるなんて、釈然としない。下請けへのしわ寄せを禁じるチェック体制も必要だろう。

「NHKの古い職員が不満を持っているのは、人事改革でしょう。管理職を約3割削減し、職種別の採用を一本化するなどの人事制度改革を行うことが発表されています」

 20年度決算を見ると、国内放送費(3111億円)の次に多い支出が人件費(給与)で1094億円、さらに退職手当・厚生費には536億円が費やされている。

「自民党の小野田紀美参議院議員が今国会の予算委員会で『スクランブル化こそ目指していく姿だと思う』と発言し、ネット上では賛同する声が上がっています。今年の通常国会は、NHKの前田晃伸会長の言う“スリムで強靱な『新しいNHK』”に本当に変われるのかが問われることになるでしょう」

デイリー新潮編集部

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