国民は悠仁さまではなく「愛子天皇」誕生に前のめりに…専門家は「内閣も国会も怠惰の謗りを免れない」と指摘

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女系天皇容認

 もし「女性・女系」の両方を認めた場合は、愛子さまだけでなく、愛子さまのお子さまも皇位継承者となる。

 だが、天皇家の長い歴史をどれだけ遡っても、「男系を辿らない天皇」は一人もいない。これが保守層の一部が女系天皇に強く反対する理由の一つだ。

「当時の有識者会議は、一歩踏み込んで女系天皇も容認しました。発表のタイミングに合わせて、朝日新聞は世論調査の結果を報じました(註3)。注目された『男系天皇の維持』が必要だとする回答は17%にとどまり、『女系天皇を認めてもよい』との回答は71%に達したのです」(同・担当記者)

 しかし、この数字には注意が必要だ。NHKが2009年10月30日〜11月1日に行った世論調査で「『女系』天皇の意味を知っているか?」と質問したところ、「全く知らない」が12%、「あまり知らない」が33%となり、合計すると45%になる(註4)。

「大多数の国民は『愛子さまが即位されるといいな』と素朴に考えている一方で、『男系天皇か女系天皇か』という問題はよく分からないという層も相当数に上る。これが平成でも令和でも変わらない傾向でしょう。女性天皇だけでなく女系天皇の容認も打ち出した小泉内閣時の有権者会議は、国民世論より一歩前に進んだと言えます。当時のメディアもこの点に注目し詳報しました」(同・記者)

悠仁さまご誕生の影響

 だが小泉内閣は、有権者会議の結論を元に皇室典範を改正することはなかった。2006年2月、紀子さま(55)のご懐妊が報じられたからだ。

「9月に悠仁さまが誕生されると、自民党の幹部からも『これで男系天皇が維持できる』と安堵の声が上がったそうです。政治の世界では一気に議論が沈静化。女性・女系天皇の問題は先送りされることになりました。一方の世論は、悠仁さまがお生まれになってもあまり変化していません。読売新聞が2020年5月の憲法記念日に行った世論調査では、女性天皇賛成が67%に達しています(註5)」(同・担当記者)

 この調査で興味深いのは、自民党の支持層でも66%が女性天皇を支持したことだ。

「愛子さまが誕生されてから、常に国民は『愛子天皇待望論』で前のめりだったことが分かります。この歴史を考えれば、有権者から付託を受けた国会議員は、与野党を問わず、国民の声に応えてこなかったと批判されても仕方ないでしょう」(同・担当記者)

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