国民は悠仁さまではなく「愛子天皇」誕生に前のめりに…専門家は「内閣も国会も怠惰の謗りを免れない」と指摘

国内 社会

  • ブックマーク

Advertisement

日本国憲法の問題

 皇室ジャーナリストの神田秀一氏は「皇室が存続の危機に直面していることは明らかです。内閣も国会も怠惰の謗(そし)りを免れないと思います」と言う。

「女性皇族は結婚されると民間人になります。決して遠くない将来、佳子さま(26)も愛子さまも皇室を去られ、悠仁さまだけがお残りになるかもしれません。天皇家が直面しておられる状況を考えれば、国会では待ったなしの大激論が行われていて当然なのです」

 神田氏は「もう皇室典範の改正で済むような状況ではないでしょう」と言う。

「日本国憲法は第1条から8条まで、天皇について規定しています。ただし、皇位継承については第2条に、『皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する』とあるだけです。男系とも女系とも書かれてはいません」

 終戦直後、天皇家は、太平洋戦争の責任を巡って存亡の危機に立たされた。特に東京裁判が始まる前までは、“天皇戦犯”の可能性は突拍子もない極論ではなく、一般市民も普通に議論していた。そんな時代の空気を反映するようにして、日本国憲法は制定された。

「憲法の第1条から8条までは天皇家を存続させるための“緊急避難”的な色彩が強く、現在の社会情勢とは大きく齟齬を来しています。いくら皇室典範を改正しようとしても議論が進まないのは、結局のところ小手先の解決策だからではないでしょうか。憲法に根本的な問題があるのですから、憲法改正を正面から議論する以外の方法はないと思います」(同・神田氏)

主権在民

 抜本的な議論を常に先送りしてきた内閣も、国会も、宮内庁も、有識者会議もだらしない。だとすれば、国民が皇室の未来を考えるしかない──ここで大きな意味を持つのが、改憲にあたっての国民投票だ。

 憲法を改正するためには「国会で衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成を経た後、国民投票によって過半数の賛成を必要とする」と定められている。

「皇室が今後も安定的に存続・発展するため、国会で与野党が一致団結して論点を整理し、改憲案として国民に提示する。それを国民投票で結論を出す。象徴天皇制は『主権の存する日本国民の総意に基づく』と憲法第1条は定めています。男系か女系かという問題を改憲プロセスによって解決できたなら、主権在民の精神に最も相応しいのではないでしょうか。皇族のみなさまも『国民に寄り添う』ことを最優先に掲げておられます。国民投票によって皇室のあり方が決まったとすれば、きっと歓迎してくださるはずです」(同・神田氏)

註1:女性天皇「容認」86%、若年層が高支持――毎日新聞世論調査(毎日新聞・2001年12月11日朝刊)

註2:女性天皇、容認86% 継承順位は意見二分 朝日新聞社世論調査(朝日新聞・2005年2月1日朝刊)

註3:女系天皇71%容認 継承順は第1子47%、男子39% 朝日新聞社世論調査(朝日新聞・2005年11月29日朝刊)

註4:「平成の皇室観 『即位20年 皇室に関する意識調査』」(NHK放送文化研究所「放送研究と調査」2010年2月号)

註5:象徴天皇 8割肯定 「女性天皇」賛成67% 全国世論調査(読売新聞・2020年5月3日朝刊)

デイリー新潮編集部

前へ 1 2 3 4 次へ

[4/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。