清原和博は名誉挽回なるか…2021年プロ野球界“3大炎上発言”

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「降板させるべき」

 前出の日本ハム騒動の少し前、東京五輪開催中の8月8日に球界OBによるもうひとつの炎上騒ぎが勃発した。同日、「サンデーモーニング」(TBS系)に出演した評論家の張本勲氏が、ボクシングフェザー級で日本女子初の金メダルを獲得した入江聖奈選手について、「嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合って、こんな競技好きな人がいるんだ」とコメントしたことが、日本中の反感を買ったのだ。

 SNSを中心に「降板させるべき」の声が上がり、日本ボクシング連盟もTBSに抗議文を提出した。TBS側は同連盟に「本来であれば番組内で対応すべきでした」と謝罪し、「今回の私の発言は言葉が足りませんでした。入江選手の快挙を称えると共に、自分も金メダルを取れるのではと思って、ボクシングをやる女性が増えてほしいということを本当は言いたかったのです。言葉足らずで反省してます」という張本氏のコメントも添えられた。

 これまでにも三浦知良に「もうお辞めなさい」と引退勧告し、「野球以外語ったらダメ!」とサッカーファンの怒りを買うなど、歯に衣着せぬ発言で何度も炎上していた張本氏だが、その後、11月28日の同番組で「私の都合で、シニア人生、ゆっくり過ごしたいんですよ」と年内での“卒業”を宣言。一部報道では、入江選手の一件に責任を感じ、自ら身を引いたとも伝えられる。“直言居士”も時と場合によることを痛感させられたことだろう。

“ビッグボス”にいちゃもん

 そして、シーズン後にも、もう一人の球界OBによる炎上騒ぎが起きる。日本ハムの新庄剛志新監督が就任会見を行った直後の11月17日、清原和博氏が自身のユーチューブチャンネルで、「見た瞬間、ちょっとイラっとしましたね」「プロ野球の監督になったら、ある程度(服装も)ちゃんとしてくる」などと、赤いスーツと襟高シャツ姿で会見に臨んだ“ビッグボス”にいちゃもんをつけたことがきっかけだった。

 たちまち、「服装云々については、清原が言う資格は無い」「清原さんはファンを裏切りましたが、新庄さんはパフォーマンスでも野球でもファンを裏切ったことはありません」「新庄監督! こんな人に負けないでください」など、清原氏への批判と新庄監督を支持する声が相次ぐ結果を招いてしまう。

 薬物からの更生に努め、少年野球の指導や甲子園の阪神-巨人戦で解説者を務めるなど、世間のイメージが良くなりつつあった矢先の大逆風は、これからメディアへの露出を増やしていこうとする清原氏にとって、大ダメージになったのは言うまでもない。

 新庄監督が采配を振るう来季は、何かにつけてコメントが注目される立場になるが、名誉挽回の“逆転ホームラン”が飛び出すか、炎上再びとなるかは、清原氏の対応いかんにかかっている。「綸言汗のごとし」と言われるように、野球人に限らず、不用意な発言には、くれぐれも注意したい。

久保田龍雄(くぼた・たつお)
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍「プロ野球B級ニュース事件簿2021」上・下巻(野球文明叢書)

デイリー新潮編集部

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