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カティ・マートン(倉田幸信・森嶋マリ訳)『メルケル 世界一の宰相』(文藝春秋、2021)

 16年の長きにわたりドイツ首相を務めたアンゲラ・メルケルが、この12月、ついに政界を引退した。そのタイミングで刊行された、今読むべき力作。著者カティ・マートンは、ハンガリーで生まれ育ったアメリカのジャーナリストで、夫は元駐ドイツ大使。東ドイツに育ったメルケル同様、ソ連の衛星国家(それは密告システムの網の目が張り巡らされた警察国家だ)出身であることは、メルケルの素顔と心情に迫るうえで役立ったようだ。...

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